広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

汕頭大学への研修を経て

● 橋本 隆志さん (第2学年次)

saita01.jpg 『留学して異国の地で医療を学ぶ』、医学生ならば誰もが一度は望むことではないだろうか。私もその例に漏れず、海外で医療を学ぶという経験をしたいと考えていた。上海経由で汕頭に到着した。汕頭の空港では、程先生が私たちを迎えてくれ、welcome dinnerでは大勢の先生とお話することができた。先生らは皆日本語が達者で、かつ大変親切であったので、ちょっとした冗談を言ってみたりして、終始リラックスすることができた。宿舎は大学の敷地内にあり、各々に個室が与えられ、リビングやキッチンやシャワールームをシェアする形であった。冷暖房も完備しておりほとんど不自由なく生活できた。汕頭地域は亜熱帯気候に属するので、そもそも日本よりも冬場は寒くないのだが、今回私たちが宿泊するということで、暖房付きのものに買い替えてくれたらしい。その心遣いに感謝感激である。

今回、様々なプログラムで研修させて戴いたのだが、最も印象に残っているのは、Home visits with Hospice nursesである。この研修では、在宅ホスピスの貧しい患者の元を医師とナースと共に訪ねた。このように、中国の一般家庭を訪れることはなかなかできないと思うので、大変貴重な経験になった。一人目に訪れた家には、祖母、母、娘がおり、母が末期の大腸癌で、既に肝臓などへの遠隔転移を起こしていた。父親は働きに出かけているようであった。この母親は診察中、娘の成長を最後まで見届けられないのが残念だと言い、涙を流した。娘は端の方に座り、顔を背けていた。それから母親はタブレット端末に保存してある親戚の写真を何枚も私たちに見せてくれた。路地裏の崩れ落ちそうな建物の一室でタブレット端末を操作する仕草は、私にはとてもアンバランスなものに思えた。それから母親がみんなで写真を撮ろうと言い、私たちと母親で撮った。母親はとても喜び、可愛らしく顔を崩した。私は気付くと母親の背中に手を回してさすっていた。いよいよお暇することになり、娘が私たち一行を大通りまで送ってくれた。その道中、娘が医師に何かを訴えていた。医師はそれに返答し、娘は頷いていた。私はそこで何が話されたのかを知らない。

その他にも様々な体験をした。例えば、Medical Aid for the poorである。この活動は、地方の極めて貧しい地域に医師団が赴き、無料で診療するというものである。私たちが到着したとき、既にたくさんの子供やお年寄りが集まっていた。机と椅子が並べられ、医師や看護師による診療が始まった。私たちは同行していた汕頭大学医学院の学生と話をしたり、地域の子供たちに文房具を配ったりしていた。そのなかで患者を一際てきぱきと裁いている女性の看護師がいたので、彼女の手が開いたときに何歳なのかと尋ねてみると、なんと17歳であった。琢磨しいとはこのことだと思った。

saita01.jpgまだまだたくさんの体験をした。口唇口蓋裂センターを含む第二付属病院や第一付属病院の診療を見学したり、精神科病院を訪れたり、Clinical Skills Training Centerを回ったりなどなど。またこうした医療系の活動だけでなく、2000年の歴史をもつChaozhouを観光したり、Round Houseを訪れたり、現地の学生とショッピングしたりなどもできた。また自由時間も多かったので、友人と大学周辺を散策することもできた。こうした場所にある商店では、How much ?などの英語も通じない場合があったので、値段交渉には紙とペンが必須であった。また言語に関して驚いたことといえば、大病院などでの診察でも患者が方言しか話せないために、通訳が必要なことが多々あることだった。もちろん中国には、様々な言語が存在することは知識として知っていたが、いざ目の当たりにするとやはり驚きであったし、産婦人科の先生は大変不便だとおっしゃっていた。また中国では、日本とは異なり、診察の際に他の患者が横にいて患者の診察結果を一緒に聞くというのが普通であった。これはプライバシーを守るという考えが浸透していないというよりは、プライバシーの概念そのものが稀薄であるなと感じた。これは、もうそういうものとして存在しているので、日本と中国どちらが優れているという問題ではないなと思う。また兼ねてからの疑問であった中国の医療制度や保健制度の実態や、それに関してこれからどのように改革されるべきだと考えるかなどの質問をすることができて大変有意義であった。このような質問をすることは日本にいては難しい。どの先生も熱心に答えてくれたことに感謝したい。

最後に、今回共に留学した仲間や、この留学をサポートして下さった全ての方々に心より感謝を述べる。確かに行く前は不安もあったけれど、帰国した今、掛け替えのない経験を積めたと思います。本当にありがとうございました。今回の体験を、今後の自分に活かしていきたい。

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