広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

クロアチア・リエカ大学での研修を終えて

● 松本 侑香さん (第5学年次)

saita01.jpg 私はこのたび、整形外科病院にて1ヶ月間実習させていただきました。この紙面には書ききれないほどたくさんの経験をさせていただいたのでその一部をお伝えしたいと思います。 病院はLovranという海沿いの町に位置し、病院だとは思えないほど芸術的で美しい外観をしていました。そして病室の窓からはアドリア海が見渡せ、とても素晴らしいロケーションにありました。整形外科のみの単科病院であり医師数は約25人、ベッド数は約100床、クロアチア全土から患者さんが集まってくるという人気の高い病院です。

そこでの整形外科医の一日は朝7時半からのカンファレンスで始まります。カンファレンスでは術後のレントゲン画像をもとに話し合います。クロアチア語で行われるので詳しい内容はわかりませんが、ジョーク混じりで、毎日笑いが起こっており、科全体の雰囲気の良さを感じました。カンファレンスのあとは毎日の回診です。日本と同様に患者一人一人のそばへ行き、状態を確認します。日本ではベッドサイドにさまざまな機械やコンピューターがあり、自動的に記録が行われますがここではベッドにぶら下げた記録票に書き込むという形式でした。また、ベッド同士を区切るカーテンがなく、同室の患者さん達は仲良く話をしているようでした。クロアチアの人々は初対面の人であってもそれを感じさせない程楽しそうに会話ができるという場面にこの1カ月間で幾度となく遭遇し、非常に驚きました。回診のあとはそれぞれの手術が始まります。担当の手術まで時間があると病院内のカフェに集まり、コーヒーブレイクです。親切にも英語でしゃべってくださり、私も先生方の会話に加わることができました。雑談はもちろん、疾患や症例についての話もしており、ただの休憩時間ではなく信頼関係を築いたり、情報交換の場としてすごく重要な時間であると感じました。手術室と同じ並びにある休憩室にはパンやスープなどが常備されており、手術の合間にはそこで軽食を取ることができます。そこでは教授であろうと研修医・看護師であろうと、同じテーブルで会話をしながらコーヒーを飲んでおり、他職種との関係性の良さを感じました。オペ中の様子を見ても思ったことですが、クロアチアでは歳や経験に関係なく自分の意見を言える環境があり、若い医師たちも反論したり主張したり、すごく生き生きと発言していたことが印象に残っています。

kanemoto02.jpg 手術は4つの手術室で、一日約15件程度行われます。そのほとんどが変形性関節症に対する人工関節置換術や骨切り術、前十字靱帯再建術の症例でした。手術の方法は日本と大きな差はありませんでしたが、日本より手術時間が短く、かつ大胆さを感じました。清潔野で見学させていただいた時には血が顔に飛んでくることもしばしばあり、メガネが必要な程でした。また、体格の良いドクターが多く、そのため手術にも力強さを感じました。変形性膝関節症の骨切り術における修正角度をコンピューターではなく、レントゲン像に角度定規を重ね合わせて算出していることには驚きました。また、日本人の名前がついている手術器具があるという話や、麻酔科の先生に教えて頂いた肺塞栓症についての日本の研究論文の話を聞き、日本の医療がクロアチアでも知られていることを実感し、誇りに思いました。手術には私も参加させていただき、吸引や縫合などを実際に経験することができました。初めての皮膚への縫合はとても緊張し、手が震えるほどでしたが、何針か縫っていくうちに慣れていき、間隔や深さ、結び目の作り方などを考えながら糸をかけることはすごく楽しく、とても貴重な経験ができました。

 クロアチアでは、見たい手術があればどれでも見る事が出来、帰りたければいつでも帰れるという環境にありました。質問すれば丁寧に教えてもらえますが、じっとしていても何も学べません。初めのうち、自分の英語がわかってもらえるかという不安で自分から発言することができずにいました。私の実習期間はクロアチアの学生にとっての休暇期間でしたが、整形外科を志している女子生徒が実習に来ており、自分の進む道を決め、そのための経験を学生のうちから積もうとするその学習意欲の高さに非常に感銘を受けました。そして同時に受け身である自分がすごく恥ずかしく感じました。そこで、拙い英語でも質問をしてみると、理解しようとしていただけ、丁寧に教えて下さったのでとても嬉しかったのを覚えています。もちろん英語力は必要ですが、それ以上に伝えようとすることが大事なのだと学ぶことが出来てからは同じ時間でも得るものが増え、実習がより有意義なものとなりました。

saita01.jpg 手術は3時頃には終わり、先生方はそのあと自宅で家族とゆっくり過ごすとのことでした。私はそのロケーションが故、毎日海岸沿いを散歩したり、カフェに行ったりと日本とは全く違ったゆっくりとした時間の使い方をしていました。週末には交換留学生の実家に招待していただき、郷土料理や伝統的な衣装を体験し、クロアチアの文化や家族の在り方を肌で感じる事が出来ました。これはこのプログラムが交換留学であるからこそ経験できたことだと思います。また、彼らはクロアチアのいろいろな町を案内し、建物や歴史について説明してくれました。毎日が楽しく充実しており、1か月という時間はあっという間に終わってしまいました。

クロアチアの交換留学生の3人からは日本にいる間から多くのことを学ばせてもらいました。医学に対する姿勢、知識の多さ、余暇の過ごし方など見習うべき点がいくつもあり、彼らが日本で過ごした一カ月間は私にとっても楽しく新鮮なものでした。また、クロアチアではたくさんの先生方や友人と知り合うことができ、医療、文化の違いに触れ、視野を広げることができました。そして、世界の広さを目の当たりにしました。この経験は将来必ず医師になるうえで役に立つと確信しています。最後になりましたが、この機会を与えて下さった中西学長、三輪先生、国際交流センターの鳥井さん、クロアチアでお世話になった医師や看護師の方々、たくさんの思い出を共有した友人達に心より感謝しています。本当にありがとうございました。そしてこの貴重な経験をより多くの後輩にも経験してもらえたらと思います。

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