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兵庫医科大学医学会
海外研修報告

コロンビア大学留学を終えて

● 伊藤 純子さん (第6学年次)

itoh-j01.jpg 今回2014年4月7日から5月2日まで、アメリカ、NYにあるColumbia University Medical Center(CUMC)の循環器内科で臨床実習を行いましたので、報告をさせていただきます。循環器に興味があり、アメリカでの臨床現場を見てみたいと思いこのプログラムを志望しました。コロンビア大学留学プログラムに参加することは1年生のときからの目標でした。日本とアメリカでの医療や医学教育の違いについても経験してみたいと思っていました。

 毎朝7:00-9:00にMorning Report、EP Conference、Cardiac Catheterization Conference、Combined Morning Report(Cardiac Surgery)、Echo Fellow Conference、Cardiology Grand Rounds、Clinical Case Conferenceなどがあります。Morning Conferenceではベーグルやフルーツを食べコーヒーを飲みながら議論がなされます。その後、チームのFellow(Residencyを終了しCardiologyを専攻している)に付いて病棟業務を行います。12:00-13:00にはlunchを食べながら、Adult Congenital Conference、ECG Conference、Medicine Grand Rounds、Journal Clubがあります。Grand Roundsは著名人を招いての講演会であり、いろんな方のPresentationを聞くことができ、聴衆を引きつけるようなPresentation の仕方についても少し学ぶことができたように感じました。Journal ClubではFellowが興味のある論文について発表していましたが、冒頭からすでに議論が始まり、Discussionの部分にさしかかるとFellowのテンションがあがっているのを見て、アメリカ人の議論好きを肌で感じることができました。

 CardiologyはUltrasound、Interventional Cardiology、Electrophysiology(EP)、Cardiovascular、Adult Congenital、Cardiology Consult Service、Cardiac Intensive Care Unitなどの部門に分かれており、Fellowは4週間でローテーションしていました。Consult ServiceにはGeneral CardiologyとArrhythmia Consultsの2チームがあり、コロンビア大学の学生は1~2週間でConsultチームをローテーションしていたり、4週間CCUで実習をしていたりとさまざまでした。私はChief Fellowのおすすめで、1週目はArrhythmia Consult Service、2週目はGeneral Cardiology Consult Service、3週目はCCU、4週目はCardiac SurgeryとAdult Congenitalを選択しました。

itoh-j02.jpg1週目はArrhythmia Consult Serviceで実習をしました。Fellowに心電図や生理学について教えていただき、ペースメーカーのチェックの見学などもしました。午後はエコーの見学に行きました。日本より経食道エコーの件数が多く、FellowやAttendingが丁寧に説明してくださりとても勉強になりました。右左シャントの診断に用いられるBubble studyを見学する機会もありました。

 2週目はGeneral Cardiology Consult Serviceで実習をしました。このチームはとても忙しく、ほぼ毎日他科からのConsultが数件あり、常に10人前後の患者さんを担当していました。毎日1日かけて患者さんの回診を行っており、問診や診察を見学しました。この週は4年生の学生と一緒だったので、いろいろと話をしたり質問をしたり、一緒に問診や診察を行ったりしました。こちらの学生は患者さんの問診中もメモをとらず、すべて頭に入れており、すぐにUp To Dateを調べてカルテを書き、Attendingに紙を見ずにプレゼンしていたのでとても感心しました。学生にその旨を伝えると、大事なところを覚えておけばよく、忘れたり聞き足りなければまた聞きに行けばいいと言っていて、良い刺激を受けました。Consultチームではさまざまな患者さんがいて、いろんな科からConsultが来るのでとても興味深かったです。毎日Fellowとディスカッションしたり関連する論文を読んだり教えてもらったりと充実した1週間を過ごしました。

 3週目はCCUで実習をしました。CCUは14床あり、主にResidentがまわしていました。他に術後のより高度なケアを必要とするCTICUもありました。ここでは冠動脈病変で2枝3枝病変は当たり前という感じで、重症の心不全の患者さんも多くおられました。午前中はCCUにいるResidentのRoundに参加し、Attendingへのpresentationを一生懸命聞いて、どんな患者さんが入院していて、どのような経過をたどっていて、今問題となっていることは何か聞き取ることを目標にしていました。1週目にも何回かこのRoundに参加していたのですが、初めは速い英語についていけず必死でしたが、だんだんと耳が慣れてきて聞き取りができるようになってきたことを実感したときはとても嬉しく感じました。この週はResidentに申し出て、患者さんを一人当ててもらい、簡単な問診と身体診察をすることができました。英語での問診や診察を事前に勉強し準備していたので、実践することができ、また患者さんとわりと長い時間英語で会話ことができたことで、自信をつけることができました。Roundの間にはAttendingによるLectureがあり勉強になりました。優秀な3年生の学生がいくつか興味のある論文を調べてきて簡単にプレゼンしていて、レベルの高さを実感しました。学生がResidentやFellowと一緒にAssessmentやPlanを考え1スタッフとして診療に当たっていて、日本の学生とはプロ意識が全然違うと感じました。時間があるときにはFellowによるLectureがあり、エコーの読み方や評価の仕方などとても勉強になりました。Fellowは質問をすれば熱心に教えてくれるので、できるだけ質問をしようと心掛けていました。この週にはCatheterの見学にも行きました。Biopsyや、日本ではまだあまり見られない、経カテーテル大動脈弁置換術 Transcatheter Aortic Valve Replacement(TAVR)を見学することができました。経食道エコーで人工の大動脈弁が開く場面はとても印象に残りました。カテ室では看護師さんや技師さんが器具を見せて下さったり説明して下さり、どのような操作がなされているのか一つ一つ理解しながら見学することができました。

 4週目にはCardiac Surgeryで日本人の教授の下、人工心臓の植え込み手術や僧帽弁置換術とバイパス手術を見学しました。また、火曜日の夜中の1:30頃に連絡を受け、2:00-6:30にレシピエント側のチームに加わり、心移植を見学することができました。この週は3件心移植があったようで日本との件数の違いに驚きました。ここでは手術に入る医師の数が少なく、アメリカでは日本より若手の間から手術がしやすいことも実感しました。Adult Congenitalチームには興味があり、Fellowにお願いして1日だけでしたが参加することができました。Ebstein anomalyの患者さんやASの患者さんのValsalva手技などを見学しました。アメリカの患者さんは学生の診察にもとても協力的で、学生が臨床現場で学びやすい環境だと感じました。

 帰国の前日の夜に幸運にも本間教授に招待していただき、The Japanese Medical Society of America’s(JMSA) 42nd Annual Spring Dinnerに参加することができました。JMSAはアメリカで働いている日本人医療者の会で、アメリカの臨床現場で働いている先生方や医学生とお話させていただき、渡米の経緯や試験や大学での勉強などについてお話を伺うことができ、非常に良い刺激を受けました。東北からNY市内の病院見学に来られていた研修医2年目の先生方ともお会いすることができました。

 今回の留学は私にとって初めての留学で、海外での一人暮らしも初めての経験でしたが、毎日英語に触れ医学的なことやアメリカと日本の医療の相違点などたくさんのことを学ぶことができました。日本の良いところを再認識することもしばしばありました。日本での実習はどちらかというと受け身の姿勢でしたが、アメリカでは自分が何をしたいか発言しないと何も始まらないことを身をもって経験しました。日々やりたいことをFellowに伝えわからないことは質問し関連する論文や興味のある患者さんのカルテを読み、速い英語を聞き取りできるだけその場で理解するよう努めることで、英語の力や積極性を身につけることができたと思います。Fellowに実習に関して希望を伝えたり交渉したりすることができたときは成長を実感しました。日本で英語を勉強するのと本場で英語を読んだり聞いたり話したりするのとでは上達度が全然違うことも実感しました。今後はこの経験を生かして、自ら積極的に物事に取り組み、常に勉強への労力を惜しまず、将来はグローバルな視野をもって研究や臨床に関わることを目標に努力していきたいと思います。

最後になりましたが、本学循環器内科の増山教授、コロンビア大学の本間教授、中教授、同循環器内科の先生方、国際交流センター、古瀬先生、その他今回の実習にあたりお世話になった全ての方々に深く感謝致します。ありがとうございました。

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