広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

リエカ大学交換留学を終えて

● 横山 浩子さん (第5学年次)

私は、日本と海外での医療の違いや文化の違いを学ぼうと思い、今回の交換留学に応募させて頂きました。一ヶ月間リエカで生活し、実習で多くを学ぶとともに異文化に触れ、たくさんの人の優しさを感じ、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。クロアチアは自然が豊かでとても美しい国でした。出発の前は公用語がクロアチア語であり少し不安もありましたが、病院の若い先生方やリエカ大学の学生とは英語が通じ、実習においても会話で困ることはありませんでした。ここでの生活を通して、積極的にコミュニケーションをとり、自ら学んでいく姿勢の大切さに気付きました。同時に自分の意思を表現することの難しさも感じました。この研修では、医学の面だけでなくクロアチアの文化、生活様式、価値観など多くのことを学ぶことが出来ました。

 私は寮からバスで20分の場所にあるKlinic(ⅴ)ki bolnic(ⅴ)ki centra Rijeka Sus(ⅴ)ak病院でお世話になりました。病院の設備は少し古く感じましたが、医療水準は決して低いとは感じませんでした。クロアチアにおける医師という職業は、日本と比べて収入が良い訳ではないそうです。しかし先生方はとても熱心で、常に情報を共有し、より良い治療を導こうとする姿勢を強く感じました。質問にも丁寧に答えて頂き、興味のあるものを伝えると快く案内して下さいました。医師の勤務時間は朝~夕方と夕方~朝の交代制で、勤務を終えた夕方以降は家族との時間や趣味に費やすと知りました。病院の中で一番日本との違いを感じたのは、病室の構造です。日本ではプライバシーに配慮し仕切りがありますが、クロアチアでは仕切りはなく、一部屋に5~6床のベッドがあり患者さんはそれぞれ全裸や半裸であってもそのまま寝ていました。回診の際も先生はとても大きな声で話しをするため、患者さん個人と話をしているものの、その病室全体で情報を共有することになっていましたが、患者さん自身あまりプライバシーを気にする様子もなく、その感覚は日本人とは違うと感じました。病院では学生が患者さんと接することは当たり前とされており、実習中私も実際に患者さんと接する機会がありました。患者さんとのやりとりでは言語は通じませんでしたが、手技をやらせてもらうことが出来ました。

病院では循環器内科、腎透析科を一週間ずつ、呼吸器内科を二週間研修させて頂きました。どの科も毎日朝のカンファレンス、回診は共通してありました。カンファレンスや回診では議論をする時間が長く、時に議論が白熱することもあるほどでした。その後、循環器内科ではPCI、エコー、ペースメーカーの装着を見学し、腎透析科では腎移植後の治療と透析施設の見学を行いました。

循環器内科には、エコー2室、ペースメーカー1室、血管造影室1室がありました。血管造影室は来年にもう1室完成するそうで、その準備がなされていました。血管造影室での見学が多かったのですが、急性心筋梗塞などでは時間との勝負となり、また、処置室が1室しかないため、次々と患者さんが入室し忙しそうな印象でした。先生は、新しい部屋が完成すれば処置がよりスムーズになるためとても楽しみだと仰っていました。

腎透析科では、主に移植後の患者さんの病室をまわりました。症状、病歴、バイタルサイン、投薬内容の記録は、患者一人につき1枚の大きな厚紙に表にして記入していくやり方でした。腎移植のドナーについて質問したところ、ヨーロッパは陸続きであり周辺の国でドナーが見つかれば移植することができるそうです。またレシピエントのリストには、たとえ高齢であっても移植の適応となればリストに加わるそうです。また透析の施設は新しく、腹膜透析と血液透析の説明や手順を教えて頂きました。自分で透析が必要な患者さんに対する講習会が開かれており、そこにも参加させて頂きました。

そして2週間過ごした呼吸器内科では、朝のカンファレンス、回診の後、気管支鏡、外来見学、病棟での実習を行いました。病棟は肺炎、癌、慢性疾患、結核の病室に分かれていました。最も多い疾患は肺癌で、喫煙率が高いため慢性肺疾患も増加しているそうです。ベッドは総数46~47台あり、入院患者数について、夏は20人以下であることが多いが、秋から冬にかけて肺炎が多くなり、満床になるそうです。また、呼吸器内科にはPre-ICUという部屋があり、ベッド数は6台でICUに行く手前の重症患者を扱っていました。ここはICUであふれた他科の患者を受け入れることもあり満床で、ベッドを確保するためにより状態の安定した患者を病棟へ移動する努力を行っていました。

週末にはプリトヴィッツェ国立公園、ドブロブニク、ラブ島などの観光地を訪れました。独立戦争の歴史を学ぶ機会もあり、昔の話という印象でしたが、独立してまだ約20年しか経っておらず、意外と戦争が最近の出来事だったと知り驚きました。交換で日本に来た学生がとても親切に対応してくれたので、クロアチア滞在中は特に問題なく生活することができました。寮での生活ということもあり、そこで暮らす学生とも交流することができました。学生との交流で感じたことは、彼らの語学の幅の広さです。ヨーロッパ諸国が陸続きであることも関係するのかもしれませんが、クロアチア語、英語のほか数か国の言語を知っている人がたくさんいました。今回の留学で、外国人とコミュニケーションをとることはそれだけ視野が広がり、新しい発見があると同時に、日本や日本人について改めて客観的に考える機会でもあると感じました。

最後になりましたが、このような研修の機会を与えて下さったリエカ大学の学長、病院の医師・看護師の方々、中西学長、古瀬先生、国際交流センターの大辻さん、1カ月間共に留学した飯沼君、藤田さん、今回の交換で交流したリエカ大学の学生に心より感謝致します。大変貴重な経験であり、将来また海外で学びたいと思うようになりました。この経験を活かせるよう、日々努力していきたいと思います。

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