広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)での留学を終えて

● 東 幸太さん (第6学年次)

w01_1.jpg 今回、私は4月23日~5月21日の1ヶ月間、アメリカのサンディエゴにあるUCSDの留学プログラムに参加し、現地での臨床実習を経験させて頂きました。留学の経験どころか、海外にも一人で行ったことのなかった私にとって、今回の留学は挑戦でした。しかし自分は英語が達者な方ではなく、異国の地で1人でやっていけるのか、大きな不安もありました。更に、このプログラムは兵庫医科大学にとって初めての試みということで、来年以降も続くかどうかは自分にかかっているのだという大きなプレッシャーもありました。そのため、直前まで申し込むかどうか本当に悩みました。しかし、せっかくの機会であり、どうしても学生のうちにアメリカの医療現場を見たいと考え、申込みを決意した結果、幸いにも参加の切符を手にすることができました。

 サンディエゴは日本ではあまりメジャーな都市ではないのですが、西海岸のメキシコとの国境に位置しており、1年を通して雨も少なく、温暖な気候のため、とても住みやすい街でした。そのせいか住んでいる人達も陽気な人、優しい人が多かったです。休みの日には動物園やシーワールドといった有名な観光地に足を運んだり、サンディエゴ特有の美しいビーチを見に行ったりもしました。

 実習を行っていたVA病院は、退役軍人のための病院で、少し普通の市中病院とは患者の層も違いました。また今回、ヒルクレスト病院という別の病院でも実習をさせていただくことが出来ました。こちらは所謂普通の市民病院なのですが、メキシコとの国境が近いためか、メキシコ人がたくさんおり、どちらかといえば貧困層の人たちが多かったように思います。病院の規模、設備などは日本とほとんど変わりませんでした。

W01_5.jpg 今回はフェローの先生の下についてずっと回っていました。朝と昼にカンファレンスがあり、午前中は外来見学や内視鏡検査の見学、午後には回診を行い、一日の最後にラウンドといって、チームのボスに患者の様子を報告するというものがありました。多少の違いはあるものの、基本的には日本のポリクリと大きく変わるところはありませんでした。先生方もみんな優しく、こちらが質問をすれば丁寧に教えてくれました。私の場合拙い英語だったのですが、理解しようと心がけてくれたり、私が分かるまで説明をしてくれるなど、決して見捨てるようなことはしませんでした。しかし、やはりアメリカというか、こちらが何も行動を起こさなければ何もしてくれませんでした。日本みたいに与えられたことだけをやればいいのと違い、自由な反面、積極性が求められました。最初のうちは本当に何も出来なかったのですが、日を追うごとに耳も慣れてきて、ある程度英語で受け答えできるようにはなりました。

 このプログラムに参加するにあたって、ただ漠然と実習をこなすだけでは意味がないと思い、自分なりに目標を立てていました。「日本とアメリカの医療の違い」、これを常に考えながら実習見学をしていました。小さいものも含めるとたくさんあるのですが、大きな違いとしては(1)患者ではなく医者主体の医療制度 (2)臨床と基礎研究の位置付け (3)教育のシステムと学生のモチベーション。特にこの三つが目立っていたと思います。

 (1)に関して、日本では知ってのとおり国民皆保険ですが、アメリカは個人で保険に入らないといけません。そのためお金のない人は十分な医療が受けられません。アメリカにはそういった人たちがたくさんいます。その反面、医者の給料は日本の2~3倍はあるそうです。それが悪いとは言いませんが、日本の考え方とは大きく違っていると感じました。(2)に関しては、アメリカは日本と違い、臨床と研究を同レベル、もしくは研究重視の姿勢をとっています。臨床において、外科は見学してないので分からないですが、内科に関しては手技、診察方針など、日本の方が進んでいると思いました。(アメリカではESDという概念すらありませんでした。) しかし、研究に関して言えば、研究費、施設、環境、どれを取っても日本が勝てるレベルではありませんでした。そのためにアメリカでは使えるのに日本では使えない薬が山のようにあるのです。最終的に治療成果の優劣を決めるのは、治療薬の効能だと私は思っており、この辺りに日本医療の限界があるのかなと思ってしまいました。また(3)に関しても、教育面ではアメリカの方がはるかに充実しており、また学生のモチベーションも比べ物にならないくらい高かったです。聞いた話によると、アメリカで医学部に進むのは本当に難しいそうです。(日本でも十分難しいですが)そのため、自然とやる気のある人間しか残らないそうです。長々と書きましたが、たった1ヶ月見学しただけなので、これが正しいのかどうか判断するには早すぎるかもしれませんが、留学を通じて私なりに感じた結果です。

 今回このプログラムを通して、本当に貴重な体験をさせて頂きました。最初は言葉の壁が思っていた以上に高く、挫折しそうにもなりましたが、そういったことも含めて行って良かったと思える留学でした。また今回初めてホームステイを体験したのですが、ホストファミリーも良い人達で、いい経験になりました。また現代社会における英語の重要性も改めて知り、将来海外で働くかどうか問わず、必要なものだと感じました。総じて世界における日本の医療レベルと、その長所・短所を知れたのは非常に大きいと思います。ただ、楽しかった、行って良かっただけで終わらせては、せっかくの留学の意味がないので、今回得たものをこれからの医者という人生の中で、どのように生かしていくかが次の課題です。

 最後に今回の留学にあたり、御尽力頂いた関係者の方々、現地でお世話になったOBの先生方、本当にありがとうございました。おかげでとても有意義な留学になりました。また今後、高い志を持った後輩たちが、このような海外でのプログラムに参加出来ることを願っています。

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