広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

UCSD Medical Centerでの臨床実習

● 山本 奈菜子さん (第6学年次)

w01_1.jpg カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部の消化器内科で、4週間臨床実習をさせていただきました。消化器内科では基本的に自分のチームと一緒に行動するので、外来、検査見学、入院患者のコンサルト、回診など全てに学生も参加します。外来や検査以外の時間を使って、入院患者の診察に行きます。私も担当患者さんを当てていただき、自分で身体診察をしてカルテを書くことを毎日行いました。日本語でしか書いたことのなかったカルテも、レジデントやフェローの先生の指導によって段々慣れました。私がついていたGIチームの先生方は本当に良い指導医だったので、私のひっきりなしの質問にも答えてくださり、毎日大量のことを学び吸収することができました。

W01_5.jpg語学力に関しては自信があった私も、聞きなれない医学用語に最初は戸惑いました。日本語だったら当たり前のように知っている細菌名や疾患名も、すぐにはピンと来ず悔しい思いをしたこともありました。二度と間違えないようにメモをたくさん取っては辞書で調べることを繰り返すうちに、病院内で日常的に使用する細かい言い回しがとても興味深くて、それらがだんだん身に付き自分でも使えるようになるのが毎日のごほうびのように感じられました。また、与えられた課題について先生方の前でプレゼンテーションもしました。私はAIDSによるCMV腸炎の患者さんを担当していたので「HIVに関連する消化器症状」についてプレゼンテーションを行いました。UpToDateやPubMedなどから文献を探してきて発表するのですが、慣れていないのでとても緊張しました。お昼になるとnoon conferenceといって毎日違う科の先生による学生参加型の講義があり、症例問題を解いたりNarrative MedicineやM&M(Morbidity and Mortality)など様々なテーマがありました。このnoon conferenceには他の科を回っている医学生達も来るので、アメリカだけでなくドイツや台湾やオーストリアの学生とも仲良くなりました。

w01_1.jpg病院での毎日の流れに慣れてくると気づいたことは、医学は私の想像以上に世界共通であるということでした。日本語でも英語でも、学問的にはほとんど変わりありません。当たり前のようですが、兵庫医科大学で今まで学んだ知識が、言葉が違うだけでここでも全く同じように通用するということがとても新鮮で面白かったです。日本語で身に付けてきた知識に、ここでの症例を対応させていろいろ比較すると見えてくることがたくさんありました。

W01_5.jpg アメリカの病院のシステムで日本と違うところは、Primary Care Teamが全ての患者さんを持っていて、そこから専門の科にコンサルトを依頼するという形であることです。私がいた消化器内科を含め, 血液内科, 循環器内科などの科は全てPrimary Care Teamから患者さんを紹介されるという形で入院患者を診ます。つまり日本のようにほとんどの医師が専門医であるのではなく、多くは一般内科医でありフェローシップに入る人のみが専門医になれるのです。そのため、一人前の消化器内科医になるには日本よりかなり時間がかかってしまうのですが、一般内科医を経てきているため他科の疾患についての知識も幅広く持っていると感じました。

w01_1.jpg もう一つ、アメリカの医療で私が驚いたのは、病院によって患者さんの種類がはっきりと分かれているところです。UCSDの病院のうち、私は3つの病院で実習をしましたが、それぞれの病院に来る患者さんは持っている医療保険や生活水準が全く違います。VA Medical CenterはVeterans Affairsといって軍隊に関わった人とその家族のための病院です。ここの患者さんは医療費を国が負担するため、退役軍人の大腸癌の内視鏡スクリーニング検査がたくさん行われたりアルコール性肝障害の患者さんなどが目立ちました。Thornton Hospitalはまるでホテルのような建物で、裕福で高い医療保険を持っている人ばかりなので、病院の雰囲気も患者さんの見かけも他の病院とはかなり異なります。私が一番楽しかったのがUCSD Medical Centerで、ここは一般的な大きい市中病院なので毎日あらゆる症例がありました。サンディエゴはメキシコが近いのでメキシコから紹介されてきた患者さんもいて、ヒスパニックの看護師に通訳してもらいながら問診をとったり、保険を持っていない人が運ばれて来たり、極度の肥満の患者さんに胃瘻を設置したりするのを見学したりしました。いろいろ初めて見ることがたくさんありましたが、アメリカの病院といえども日本に似ているところもたくさんあります。毎日学ぶことには限りないですが、逆に日本の医療の良さを実感したことも多いのが事実です。特に内視鏡などの手技に関しては日本がいかに進んでいてたくさんの症例があるかが分かりますし、先生方のお話を聞いて日本の医療が世界的にどれだけ高く評価されているかも感じることができました。

W01_5.jpg アメリカは本当に積極性が評価される国なので、興味を持って取り組めば可能性がいくらでも広がります。他の病院を見せていただくことも、外科やICUなど他の科を見せていただくことも、自分がやりたいという意思を指導医の先生に伝えれば喜んでさせてくださいました。また、毎日たくさんの先生や学生に出会いお話をすることで、アメリカで臨床医をすることがどういうことなのかを詳しく知ることができました。UCSDでの4週間は本当にあっという間に過ぎていきましたが、言葉では説明しきれないほど価値のあるものでした。このプログラムを実現させ、素晴らしい経験をさせてくださった飯島尋子先生、石先生、Dr. Brenner、Dr. Ho、Dr. Zarrinparに感謝いたします。

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