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兵庫医科大学医学会
海外研修報告

汕頭大学医学院での研修を終えて

● 世一 友子さん (第3学年次)

w01_1.jpg 3月15日から3月21日まで、汕頭大学で貴重で素晴らしい研修をさせていただく機会をいただきました。そこで、私の視野や考え方の狭さに改めて気付き、貧しい人へのボランティアを通して、医療に携わる者として多くのことを考えさせていただくきっかけとなりました。今回の1週間の研修を無事終えることができましたのでご報告いたします。

今回の研修の予定は以下の通りでした。

1日目 中国到着
2日目 SUMCの紹介、臨床技能訓練センターの見学と汕頭大学の見学
3日目 貧しい人への医療のボランティア
4日目 全英語授業(アミノ酸代謝について)、
第一附属病院(主に産科外来見学)とホスピス活動同行
5日目 潮州観光、白内障センター見学とRound House観光
6日目 第二附属病院(感染科、口唇口蓋裂センター)、精神科病院、眼科センター
7日目 日本着

 第1日目、北京を経由して中国の南方空港にP.M.9時頃に到着。P.M.10時に汕頭大学の学生寮に到着。部屋は2DKで兵庫医科大学の四人の参加メンバーと共同でした。

W01_5.jpg 第2日目、汕頭大学の学校案内と活動内容を説明していただきました。汕頭大学では李嘉成基金による4つのプログラムを中心とした医療活動を行っています。(1)Hospice Program (2)Project New Life~Provide free Cleft lip palate(口唇口蓋裂) repair surgeries and therapy~ (3)Medical Aid for the poor project (4)Eye center(白内障の手術を中心とする)

(1)では、一年につき1.2~1.3億円分を無償で提供されていて、がんの痛みや兆候の管理、患者さんの家族の悲しみの心理的・精神的なサポート、社会復帰のためのサポートといったサービスが受けられます。
(2)では、2008年に提供が開始し、地元のクリニックと連携し、貧しさのために治療が受けられない6歳以下の子どもを対象とします。口唇口蓋裂の治療目的は、心理的・社会的影響があるためで、この活動も無料で受けられます。正規の口唇口蓋裂の治療費は農村地で働く人の一年間の給料分だそうです。
(3)では、今までに53万人の貧しい人々がサービスを受けられてきました。中国人の60パーセントは田舎に住んでいます。汕頭大学での活動内容は、家に訪問して問診を行い、血圧を測ったり、視力測定、漢方薬の処方をはじめ、ごみの片づけや子ども達と遊んだりすることです。私たちもこのボランティアに参加させていただきました。
(4)では、150床ありますが、中国の人口が多いため足りないそうです。研究室が充実しています。白内障の手術では3Dメガネをかけて見学させていただきました。

w01_1.jpg 第3日目、medical aid for the poorのボランティアをカナダの留学生と一緒にさせていただきました。一人っ子政策を推進している中国ですが、実際貧しい家庭では子供一人では労働力不足のため何人もいます。第一子以外は治療が受けられないそうです。都会と田舎の貧富の差が激しく、生活水準の差に本当に衝撃を受けました。

 第4日目、English classの授業を受けました。クラスの男女構成は男子10人女子12人、計22人でオーストラリア人の先生によるアミノ酸代謝の講義でした。また、産婦人科の外来の見学をさせていただきました。中国の産婦人科医は8から9割は女性だそうです。中国の人口に対して病院数や医師数が足りない現状で、この日の午前中の外来者数は81人と多く本当に忙しそうでした。子宮頸癌のレーザー治療と人工中絶の見学に立ち会いました。日本と違って衛生面の管理は徹底していなく、患者さん2人を同じ部屋で治療されていてプライバシーが考慮されていませんでした。中国では人口が多いためであると説明を受けました。私は日本に求められるニーズと違うことをここで初めて気づきました。医療は国民性や価値観によって国ごとに違うため、医療に携わる者はその土地に合った医療を行うべきで臨機応変に適応していかなければならないことを感じました。

 第5日目、潮州観光にカナダの留学生と行きました。汕頭の名産である刺繍や陶器のお店に連れて行っていただきました。バスで移動し、眼科センターも行かせていただきました。3年前に建てられ、都心部以外の離れた地域でも安くて技術の高い医療を受けることができるという目的のためです。その後、歴史のあるRound Houseという集合住宅の観光に行きました。

 第6日目、感染症科の見学をさせていただきました。汕頭大学では一年につき約600人の患者さんがいて、約100人が貧しさのため治療が受けられないため無料で治療しています。その次に形成外科、眼科の見学もさせていただきました。すべての科で研究施設が充実していました。バスで移動して精神科の見学も行かせていただきました。この施設では500平方メートルもある庭園になっていて、大人数の重症患者さんも軽症患者さんも混合で生活していました。日本と違うところで一番印象に残ったのは、この施設で働く医療者は全員私服であることです。その理由をうかがったところ、患者さんの心理的圧力をなくすために徹底しているとおしゃっていました。患者さんが多くても、一人ひとりの細かい配慮がいきとどいているので患者さんの生活の質は高いと感じました。

 第7日目、A.M.7時50分に南方空港出発。青島経由で関西空港に17時25分着。

 最後となりましたが、程先生、陶先生、黄先生をはじめ汕頭大学で私たち留学生を指導していただいた先生方、李嘉成基金会、波田副理事長、三輪先生をはじめ兵庫医科大学の先生方、国際交流センターの大辻さん、1週間という短い期間でしたが共に行動し助け合って過ごした3人の兵庫医科大学生のメンバーに深く感謝しています。本当にありがとうございました。医学の知識も海外経験も少ない私に事あるごとに丁寧に解説していただき感謝でいっぱいです。中国の医療の現状を学生のうちに見ることができて、日本には無い医療制度を知り、中国で求められる医療と日本で求められる医療で違う部分があり非常に興味深かったです。モチベーションの高い中国やカナダの学生さんとの交流で非常に良い刺激をいただき、これからの学生生活の過ごし方をはじめとして私の目指す医師の方向性が徐々に決まったように思う充実した研修でした。この経験を活かして、医療に携わる者としてより良い医師になれるよう努力していきたいと思います。

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