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兵庫医科大学医学会
海外研修報告

クロアチア・リエカ大学での研修を終えて

● 上田 真莉子さん (第5学年次)

ueda1.jpg 私は2012年9月22日から10月21日までクロアチア・リエカのKlinički Bolnički center Rijekaで臨床実習を行いました。小さいころから留学は私の憧れでした。ですから、留学が決まった時は、本当に夢のようで、このような貴重な機会を与えてくださったことに深く感謝しました。そして、行くからには必ず何か得てこようと心に決め、期待と不安を胸に出国の日を迎えました。私にとってクロアチアでの日々は、毎日が驚きと発見の連続で、見るもの、聞くもの全てが新鮮でした。帰国した今、改めてクロアチアでの1ヶ月を振り返ってみたいと思います。

 まず実習内容ですが、私は循環器内科、呼吸器内科、腎・透析科、消化器内科をそれぞれ1週間ずつ回らせていただきました。第1週目は循環器内科を見学しました。循環器内科は朝8時のモーニングカンファレンスから始まります。モーニングカンファレンスでは教授を含む全員で患者さんの申し送りやPCI画像について話し合います。そしてroundに参加し、CCUで処置を見学し、またエコーや血管造影を解説してもらい、心電図による検査やペースメーカーの植え込みも見学しました。初日にはCCUに案内され、1人でroundの輪に加わることになりました。患者さんと医者とのやり取りは基本がクロアチア語なのでわからず、また院内の病院案内も基本がクロアチア語なのでどこが何をする部屋なのかさえもわからず、最初は戸惑い、途方にくれました。しかし、レジデントの先生方を始めどの先生も私のことを気にかけてくれ、discussionの内容を英語に訳してくれました。それでも私が理解できないと、医学英語を言い換えたり、図を書いて解説して下さるなど熱心に教えてくださいました。また、自分でもせっかくの機会だからと、毎朝医学単語を復習してから実習に参加するように努めました。私は最初、自分の話す英語の単語や、文法が合っているのか気になってなかなか発言できませんでしたが、実際にはそんなことは重要ではなく、意見をしっかり持つこと、身振り手振りでも意思表示をしないと何も始まらないということを学びました。

ueda1.jpg 第2週目は呼吸器内科を見学しました。呼吸器も朝のカンファレンスで始まります。その後roundに参加し、聴診もさせてもらいました。他にも呼吸機能検査の見学、気管支鏡の見学、外来の処置を見学しました。クロアチアではCOPDの患者さんがとても多く、先生に聞くと喫煙率がとても高いと言っておられました。実際、街中では私自身、喉が痛くなるほど喫煙がいたるところでなされており、若い人の喫煙も目立ちました。喫煙がこれほど多いとは思っていなかったのでとても意外でした。

 第3週目には腎・透析科で実習をしました。腎・透析科もカンファレンスで1日が始まり、roundに参加し、電解質の解説や腎移植について話しました。クロアチアでは日本と違って、腎臓移植も献腎移植がほとんどであり、移植に対する意識の違いに改めて驚きました。腹部エコーも見学し、先生が熱心に解説してくださいました。リエカ大学の4年生とカテーテルの交換を一緒に見学する機会もありました。同年代の学生とグループで実習することはとても新鮮でした。また、オパティアで開かれた腎臓移植学会にも参加させていただきました。学会でのプレゼンテーションは英語で行われており、speakingも速く、完全に内容を理解することは難しかったですが、海外の学会の雰囲気を肌で感じることができただけでも良い機会になったと思います。

 第4週目には消化器内科で実習しました。消化器内科の朝は血液内科や免疫科、内分泌科との合同カンファレンスで始まります。その後roundに参加し、上部消化器内視鏡、大腸内視鏡、胆管膵管造影を見学しました。round中、肝炎や肝硬変の患者さんを多く見かけました。クロアチアでは、その原因はアルコール性が多いと聞きましたが、強い酒を顔色変えずに飲んでいることを考えると納得がいきました。消化器内科ではNew Yorkからの留学生と一緒に実習する機会もありました。彼らとアメリカ、クロアチア、日本の保険の仕組みや医学教育の仕組みなどについて話し、その違いに驚きました。また、彼らが積極的に自分の意見を述べる姿勢はとても印象的で、その意識の高さに刺激をうけるとともに、根拠を持って自分の意見をまとめ、きちんと伝えるという姿勢は私も見習いたいと思いました。消化器内科ではインターンによる英語クラブというものも行われていました。若いドクターが教授を始めとする先生方の前で、自分で決めた内容についてプレゼンテーションしており、英語の勉強も積極的にされているのだと思いました。また、第4週は消化器内科だけでなく、救急科も見学させていただきました。

ueda3.jpg 以上に述べた以外にもクロアチアには日本との違いがたくさんありました。医師のいる部屋は病室の向かいであり、ある時は隣であり、すごく近くにありました。そのためか病室にナースコールはありませんでした。病室は女性用、男性用で分かれており、多くの病室にはカーテンなどの仕切りがなく、病室の患者さん同士がとてもフレンドリーに過ごしていました。手術室にもエプロンは使い捨てではなく、洗い替えのものを使っているなど様々な違いがありました。他に、男性より女性医師が多いことにも驚きました。

 また、クロアチアでは自分の幸福度を大切に考えており、医師を含め、みんな毎日楽しんで生き生きと働いているという印象を受けました。街に出ると、人々はオープンカフェでコーヒーを飲み、家族と食事し、本当に日々を楽しんでいるようでした。この国の、仕事をした上で余暇も十分に楽しむ姿勢は見習いたいと思いました。

 このような、日本と違った環境で実習を行えたことは本当に貴重な経験ですし、視野を広げ、その中で自分の将来と向き合えたことは私にとって大きな収穫になったと思います。また、実習以外にもたくさんの経験をしました。プリトヴィッツェ公園ではすばらしい自然に心からリフレッシュできましたし、教会やアリーナ、町並みは美しくて、まるで映画を見ているかのようでした。クロアチアでの友達や先生方との出会いも私にとって貴重なものとなりました。そして初めて家を離れ、自分がいかに家族に支えられてきたかということも実感しました。今回学び、感じたことをいつまでも忘れることなく、これからの人生に活かしていきたいと思います。

 最後になりましたが、このようなすばらしい機会を与えてくださった方々、そして様々なご指導をいただきました諸先生方、全ての方々に感謝いたします。本当にありがとうございました。

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