広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

ワシントン大学研修を終えて

● 矢島 悠太さん (第5学年次)

W09_1.jpg 今回、8月13日から8月19日にかけてDr. McCormicを中心に様々な先生方にBioethicsに関するレクチャーをしていただいたり、多様な施設を見学させていただきました。

 私がこの研修に参加しようと思った動機は2つありました。1つはアメリカではどのような環境で医療が行われ、医学生がどのようなことをしているのか知りたいという好奇心によるものです。そしてもう一つは、日本ではあまり学ぶ機会が少ないと感じる生命倫理についてのレクチャーが受けることができると聞いたからです。

 実際のプログラムにおいて、あらゆる先生から初めて聞くような情報や、とてもユニークな考え方を教えていただきました。またレクチャーは講師から学生への1方向性ではなく所々私たちに疑問点を投げかけ考えていくという形式であり、単に知識の吸収ではなくそこから何を考えるかといったことが実践できとても素晴らしかったと思います。この内容として特に印象的だったのはBioethicsの考え方、そしてチャップレンとスピリチュアルケアについてです。

 Bioethicsの考え方として、Dr. McCormic はどうすべきか、何をすべきか、そして誰が決めるのかという疑問点を提示されました。その答えについては自分の中でもなかなか見つけることができず、その状況によってもぶれてしまい難しいと感じていました。しかし、レクチャーの中でケリー先生の5つの方法や4原則、4boxに分類する方法など1つの決まった流れ・プロセスとして考えることができるという方法が示され、とても衝撃を受けました。それは、カルテにSOAPと書くようにその患者に対する問題点を列挙することができます。そして、それを埋めるためにはその人の個人情報や感情も含めstoryとして心を広く話を聞き、その次の段階として医師の立場で聞くといった手順が必要になります。このような方法によって4boxを埋めることができれば、医療的だけではなくどういう風に生きていきたいのかということを考える材料がみつかり、まさにBioethics的に正しいと思われる行動がとれるはずです。Bioethicsは日本語訳では生命倫理となり、いかにも社会としてどう判断するかといったことが問題のような響きになっており、確かにそのような一面も含まれていると思いますが、同時にこの話からもわかるように、その人自身がどう考えるか、また自分自身がどう考えるかといったことが医療現場でBioethicsを使用するポイントになっていると思いました。つまり、ぶれてしまう事は社会的判断では問題となるが、実際に患者と接する際にその人自身に合わせることによるものだととも考えられるのではないでしょうか。もちろん、これだけがBioethicsの考え方ではないし正しいとも限りませんが、おぼろげながらも1つの結論を導けたことはとても有意義であったと思います。

 また、チャップレンについてですが、これは日本ではなじみの薄い職種だと思います。レクチャーの中ではスピリチュアルの部分を中心に患者・家族・医療者に対してまで支援を行う職であり、その制度はアメリカでは資格となっているほどです。これは、日本ではスピリチュアルといったものがなかなか認識されづらいからかもしれませんが、チャップレンの方々はスピリチュアルが何なのか言えないような人も対象として、自分のスピリチュアルとは何なのかを探索するためにどうするのかなどもレクチャーして頂きました。つまり、日本において無宗教というような人たちにとってもスピリチュアルな部分は存在するし、その部分に対するケアも必要とされているでしょう。このような自分の知らないことがまだまだ数多く存在しているということも実感できました。

W09_2.jpg この他にも内容の濃い1週間でしたが、この研修全てにおいてとても考えさせられ、また同時にとても心に残る1週間でした。そして、これからもこの経験を生かしてさらに考えを深めていきたいと思っています。最後になりましたが、このような機会を与えてくださった山西先生、古山先生、野口先生、そして貴重な時間を割いてくださったDr. McCormicをはじめとするワシントン大学の先生方、そしてこの研修に関わってくださった全ての方に感謝を心から申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

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