広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

汕頭大学医学院留学を終えて

● 西山 正行さん (第4学年次)

sw06_2.jpg 論語の中の一説にこの様な言葉があります。“古の学ぶ者は己のためにし、今の学ぶ者は人のためにす”昔の学ぶ者は自分の修養の為にしていたものであるが、最近の学生は人にひけらかしたり、知識や学問を出世の道具としてしかみていないという趣旨だそうです。

 今回お世話になった汕頭大学は広東省東部に位置し、比較的暖かい地方でした。沿岸部に面するために漁業が盛んで、夜間に外を歩くと潮風が吹いて来る様が印象的でした。

 私達が参加させて頂いた中国汕頭大学医学院での研修は、大学を創立された李嘉誠氏の基金による大学の概要や附属施設の研修という名目のもと行われたものです。主に基金が力を入れている慈善活動、医学教育、医療訓練施設、貧困に対する医療、眼科センター、ホスピス医療、口蓋裂治療、感染症治療、精神科、産婦人科、付属病院を視察させて頂きました。

sw06_3.jpg また、実際に現地の医学生と共に貧困に喘ぐ農村での健診に参加させてもらいdiscussionする機会を設けて頂き、付属病院での手術現場やCT・MRI室に入らせてもらいました。1998年から李嘉誠基金によって社会に奉献する目的の基、文化・理念を目的としたMA Projectという慈善事業が開始し、50万人くらいの患者を相手に白内障・産婦人科の手術を行っており、学生などに対する医学教育も同時に行っている様です。愛心・奉徳・尊厳等の理念に基づいてこれらの医療は無償で行われています。その大学の学生が一緒になってボランティアに勤しみ、早い時期から医療に携わっているようです。それぞれの医療が感慨深く、所謂無償の医療という深い慈愛を感じました。

 

■日程■

  • Mar 15 (Thu):Arrival and Check in, Welcome Dinner
  • 16 (Fri):医学院や基金の説明、汕頭大学内・臨床技能訓練施設の見学
  • 17 (Sat):農村地域医療ボランティア
  • 18 (Sun):潮州観光、白内障センター見学
  • 19 (Mon):ホスピス活動に参加
  • 20 (Tue):第二付属病院(口唇口蓋裂センター、感染科)見学、 精神科病院、眼科センターの見学
  • 21 (Wed):第一付属病院(産科・婦人科、手術室、救急科、CT・MRI室)見学
  • 22 (Thu):Check-out and Go to Airport

 

sw06_1.jpg 今回、短い期間ではありましたが、留学を通して中国と日本の医療の違いに気づかされた事があります。医学教育という観点においては、中国では5、7、8年制とがあり博士課程に進むごとに年数が変わって来るという点。それにより医師という専門性の向上、都市部に偏在する医師を地方に分散することが出来ると考えているそうです。また日本では臨床現場に入る前にOSCEという幾つかの項目を含む臨床能力試験を受験します。その為に様々な模型や器具を使って練習します。中国ではその特記事項に加え、腰椎穿刺・耳鼻咽喉科・産科の練習模型が充実していて驚かされました。

 医療においては、大学附属病院でも鍼灸にはじまり漢方など中国独自の医療が発展していることが興味深かったです。病院の診察室に子供達が体中に針を刺し寝ている光景は日本では見た事が無く興味深かったです。産婦人科では女性医師が台頭し、家族が受診する際に女性医師でないと診療を拒む事も少なくないそうです。

 地域によっては貧富の差が激しく、デパートやホテルが建ち並び漁業が盛んな都市部から僅か数km離れただけで、農村は飢饉に憂いている様でした。その極端な様子に、日本ではあまり身の回りで貧富の差を感じた事がなく、著しい虚しさを感じました。

 医学に携わる際、高度な医療を行う事を目的とするのと同時に、人間を対象にする事が医療行為であると、実感させられた大学研修でもありました。今回の経験を生かし、残りの期間、知識のみを詰め込むのではなく、海外渡航や交流を通し研鑽を積んでいきたいと思います。

 最後になりましたが、今回の大学研修でお世話になった先生方本当にありがとうございました。

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