広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

中国汕頭での研修を終えて

● 鈴木 智大さん (第2学年次)

 2012年3月15日から22日まで、中国汕頭で研修、見学をさせていただきました。ほとんど海外に行ったことのない私にとって今回の汕頭への訪問は衝撃の連続でした。

 一日目、汕頭空港につきバスに乗せていただいてホテルに移動しました。まず、汕頭の交通が私に非常に強いインパクトを与えました。車の数もバイクの数も自転車の数も非常に多く、バイクは二人乗り、三人乗りが当たり前のような感じでした。譲り合うというという感じではまったくなく、むしろ強引に入り込んだもの勝ちのような印象を受けました。どの車も頻繁にクラクションを鳴らしており、日本ではありえない光景だと思いました。中国の中でも汕頭は特に交通が激しいらしく、私は絶対に汕頭では運転したくないと思いました。汕頭の中心部では、歩行者の数も非常に多く、危険だと思う部分もたくさんありました。街並みは、少し古びた感じのコンクリート製のアパートのような建物が近接して建てられており、洗濯物も道路に面して干してあり、町の色合いも赤いランプや塗装が多く、日本とは違うと実感しました。鉄コン筋クリートという漫画の映画の世界のようだと感じました。一日目の晩御飯は広州料理でした。薄味で非常においしかったです。貝を練りこんだチヂミのようなものがあり、珍しいと思いました。

 二日目は、汕頭大学の説明をして頂いた後、汕頭大学の見学と医学部の臨床技能センターの見学をさせていただきました。汕頭大学の見学で一番印象に残ったのは図書館です。建物の中に図書館の部屋があるのではなく、非常に大きな三階建ての建物が、まるまる一つの図書館として設置されていました。図書館の前にはオブジェがあり、内装もオシャレで、美術館にでもきたような感じがしました。自習するスペースもとても広く、インターネットも自由に使えるそうです。こんなところを自由に使って勉強することができたら楽しいだろうと思いました。

 次に、医学部キャンパスの臨床技能センターを見学させていただきました。挿管の練習をする人形や、聴診器で心臓の音と呼吸の音を色々組み合わせて聞く練習をする人形、耳の診察の練習をする人形、目の診察を練習する人形、腰椎穿刺の練習、胸水を抜く練習をする人形など様々な人形がありました。日本ではあまり見られないような人形もあるようで、臨床に力を入れているのだと思いました。早く臨床の勉強をしたいと感じました。二日目の晩御飯は四川料理でした。濃い味の料理が多かったように思いました。高菜スープのようなものや、キュウリをドロドロにしたスープみたいなものがありました。よく食べる果物も日本とは違い珍しいものばかりで、食事がすごく楽しかったです。

sw04_1.jpg 三日目は、汕頭の農村部へ行って無料で医療活動を行うというボランティアについて行って、手伝いや見学をさせていただきました。農村部へ向かうバスから外の景色をみていると、畑でたくさんの人が農作業を行っていました。中には、牛を使って耕しているような風景も見られました。日本の農村部にいってもあんなに大勢で働いている姿を見たことがなく、牛を使って農作業を行っているのを見たことがなかったので、私にとって新鮮でした。午前中はその地域の小学校で、地域住民の方々に来てもらって、血圧の測定や医師の診察、視力測定や薬の配布を行っていました。血圧を測定するのは学生で、血圧に異常がある人に医師の診察を受けてもらうようにしているそうです。私は中国の学生と一緒に血圧を測らせていただきました。中国にも方言があるそうで、中国の学生が患者と話しているのを見ていて、名前一つ聞くのもすごく大変そうでした。私にとって患者の血圧を測ったのは初めてで、正確に測れたのか自信はありませんでしたが、実際にこういう活動で血圧を測れたという事でもっと色々勉強したいという気持ちになり、医学や医療を勉強することに対するモチベーションが上がったように感じました。この医療援助の活動は、学生の教育と医療援助を一緒にやろうというものだそうで、学生のボランティアは医学教育としての面も大きいそうです。座学の勉強ばかりでなく、こういう風に良い医師を育てようと考えて教育に力を入れているところはすごいと思いました。一通り終わると、中国の学生と話したり、子供たちと鬼ごっこみたいな遊びをしました。中国人だけど、やはり自分たちと同じなんだという当たり前のことを感じました。

sw04_2.jpg 昼食を食べて、午後は農村地域を見学しに行きました。まず、小学校を出て畑の横を通っていると、下水処理のための水路が整えられていないためかひどい悪臭がしました。畑の横の用水路には大量のゴミが捨ててあり、衛生状態を改善するような活動も必要だろうと思いました。住宅地に入っていっても、大量のゴミが山積みにされて残されていました。多くの家が密集して建てられており、家と家の間の細い道にもゴミ、ガラスの破片が散らばっており、そこを裸足の子供たちが走り回っているという状況でした。私にとって、正直、こんなところで生きていけるのかと思ったくらい衝撃的でしたし、自分が恵まれているのだと感じました。また、日本の田舎と中国の農村でこんなにも違うのかと思いました。このような地域を歩いて回りながら、汕頭大学の先生が中国語で学生たちに色々な話をしていました。中国語だったので何を話されているのか全く分かりませんでしたが、「こういう状況の地域もあるけれど、これでも最悪ではない。こういう地域を実際に見ることも大事だ。」という事を話されていたそうです。こういう話を日焼けするほど暑い中で先生は長時間話し続け、学生も真剣に聞き続けていました。貧しい地域での医療というのも必要だと肌で感じたし、自分の中で将来どのような医師になってどのような医療を行っていきたいかについて、一つの選択肢としてこういう医療もあると漠然とですが実感が湧きました。

 農村部での見学を終えて、帰りのバスでカナダからの留学生のマイケルさんと話をしました。英語で話をした事などほとんどなかったので最初は緊張しましたが、ゆっくり話してくれたおかげで色々話をすることができました。何を言っているのか分からないことも、何と言っていいのか分からないこともあり、英語をもっと勉強したいと思いました。しかし、私にとって貴重な経験でしたし、楽しい時間を過ごすことができました。この日の晩御飯は先生の手料理をいただきました。

 四日目は、午前中は潮州の観光でした。石造りの歴史的な建物が多くありました。また、刺繍や陶器が有名らしく、色々な作品がありました。中でも、陶器の博物館にあった陶器の壁画のようなものがとても大きくて驚きました。午後は、バスで移動して眼科センターに行きました。都市部から離れたところでも、正確な治療が行えるような工夫がなされているそうです。その後は、古くからある円形の集合住宅のようなところをみに行きました。

 五日目は、癌患者の家庭でのホスピスケアを見に行きました。病気の患者の所には悪い「気」が来るという考え方があって、近所の人とトラブルになったりするのを防がなければならない事もあるのが印象的でした。午後は、中国の学生と話をしました。日本の医療制度について答えた時に間違ったことを言ってしまい、色々もっと勉強しなければならないと感じました。

 六日目は、口唇口蓋裂の治療センター、眼科センター、精神病センターの見学に行きました。一番印象に残っているのが眼科センターで、子供の視力の低下を治すのに鍼の治療を行っていました。10人くらいの子供がならんで横になって鍼治療を受けているという姿は、私にとって少し衝撃的でした。また、結膜炎の治療として、漢方薬を溶かした蒸気を目に当てるという事をしているそうです。薬局でも薬と漢方を渡す窓口が同じように設置されており、東洋医学が占める割合が多いのかと思いました。晩御飯は東北料理でした。とても辛かったです。夜に中国の学生と、お話をしました。日本人の歌手やアニメも流行っているようで驚きました。授業中は眠くなるし、自分たちと同じなのだと感じてなんだか安心しました。本当に楽しい時間でした。

 七日目は、午前中病院見学をして、午後は自由時間でした。自由時間は散歩をして、市場を見たりしました。いろんな種類の魚が置いてあったり、食用の鳥が籠に入れられて売られていたりしてすごいと思いました。夜は髪を切ってもらいました。日本と違うところがあって面白かったです。

 今回、中国汕頭での研修に参加させて頂くことができて本当に良かったです。このような機会を与えてくださった兵庫医大の先生方、職員の方々、中国でお世話してくださった汕頭大学の先生方、学生のみなさん、本当にありがとうございました。

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