広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

交換留学プログラム

● 永尾 宏之さん (第5学年次)

r01_1.jpg 8月29日から9月23日の約1か月、クロアチアで私は精神科の病院実習を行ってきました。その詳細を、次の三つに分けて順に報告します。1.病院ならびに精神科の説明。2.私が行った実習内容。3.全体の感想。

 初めに病院について報告します。精神科は、クロアチア本土ではなくラブ島という場所に存在していました。(ラブ島はリエカから船で1時間45分の時間を要し、海が非常に綺麗でヨーロッパ各国の観光客のバカンスの場所として有名で、ラベンダーが島の特産品です。)病院の規模は480床、規模・設備があるためクロアチアのあらゆる場所からこの病院に患者が送られます。病院は8つの建物から成り、うち7つが患者のために存在し、精神科疾患の分類ごとに入院する場所が異なります。(神経認知の部門、Forensic、化学物質乱用、一般精神科領域、感情障害、リハビリ施設、診察・デイホスピタル、に分かれる。)Dr.は15人ほど働いており、朝の8時15分から午後3時45分までが就業時間で、当直医以外は完全に4時以降には帰っていました。病院は外見も内装も割と新しく、ラベンダー畑も存在し綺麗でした。中でも、リハビリテーション施設は非常に大きく、患者はそこでwork therapyを行っていました。その他にもヨガやカラオケも治療の一環として取り入れていました。

 患者に関しては、アルコール依存症、薬物乱用者が多くの割合を占めていた印象があります。その理由は、少し前に起きたクロアチアでの戦争に起因しています。(戦争経験によるPTSDから。)閉鎖病棟もありますが、多くの患者は開放病棟に入院しています。化学物質乱用者以外にも様々な疾患を持った患者がおり、多くの患者が、散歩したり、会話したり、卓球したり楽しそうに過ごしていました。それに加えすごく友好的で、私が病院内を歩いていたら向こうから話しかけてくることも少なくありませんでした。この病院は各国から交換留学生をとっていたのですが、アジア人は私がはじめてだったので興味をもっていたのかもしれません。(片言の英語、もしくは完全にクロアチア語で話すので、理解できないことはしばしばあり、そういう時は握手してクロアチア語でありがとう、後は笑顔とthumbs upで乗り切ります。)精神病の日本の患者と比べた際、確実にクロアチアの患者の方が楽しそうに過ごしていたと思います。日本ではうつ病が多いですが、クロアチアではそこまで多くありません。クロアチアの人によると、基本的にクロアチアの国民はoptimistらしく、国民性が疾患にも影響しているのではないかと考えます。

r01_2.jpg 次に、実習内容について報告します。実習では、各部門の説明、病棟の主治医の回診の見学、研修医の仕事ぶりの見学、アルコール中毒患者・薬物乱用患者に対し研修医とともにカラーテストも行いました。また、Forensic psychiatry(罪を犯したが、精神疾患を有するため、刑務所に行かなかった者、または法廷裁判中に精神疾患が疑われ、その鑑別のためにいる患者に対しての部門)の4患者の病歴聴取が主なものでした。回診、病歴聴取は完全にクロアチア語なので当然理解できませんが、後で研修医やDr.が英語で再度私に言って下さるので、大丈夫でした。言葉はわかりませんが、疾患ごとの非言語領域の特徴、顔の表情であり挙動などは多く確認できたと思います。回診も日本で行うものと変わりはありませんでした。患者との会話を通じて精神疾患の複合性についても非常に学ぶことができました。

r01_5.jpg 実習以外では、病院のホームページの和訳、日本についてのプレゼンテーション、日本料理作成などを行いました。日本料理は、ご飯、鶏肉の照り焼き、ホウレンソウの胡麻和えを作りました。(烏野さん、益子さんがラブ島に来て手伝ってくれたので助かりました。従業員約60人分を作らねばならなく、私一人ではこの企画は炎上し大失敗に終わっていたと思うので、二人には深く感謝しています。)

 病院での日常生活やクロアチアの人についての感想を含め全体の感想ですが、日々の生活では、私はずっと病院の中の精神病棟にある当直室に住んでいました。私が部屋から出ようとドアを開けた時に、私の部屋の少し前で、たまに一人の患者が壁と会話している姿や、またある患者が壁の隅で座りこみずっと独り言を言っている姿を確認できました。斬新で非常に楽しい環境だと感じました。今となっては良い思い出です。食事は職員用のものを食べていました。チキンがメインで、その他にポテトをよく食べていました。どれも非常に美味しかったです。病院の実習が終われば、時に海に泳ぎに行ったり、町まで出かけてカフェに行ったり、Barに行ったりして、毎日楽しく過ごしていました。人々に関しては、私はもちろんクロアチア語は話せないですし、さらに微力な英語能力しかありませんでしたが、病棟の看護師にはよくしていただきましたし、Dr.も従業員も患者も、みなさん優しく温かく接して下さいました。私は本当にいい人たちに恵まれた事に感謝しています。

r01_3.jpg ここに記したこと以外にも、もちろん医学知識だけではなく、語学、新しい視野・考えなど非常に多くの経験をこのプログラムで得ることができました。すべてを考慮して、この交換留学は「面白かった」ではなく、「面白すぎた」の言葉に尽きると思います。個人の力ではなく、上記の人々の優しさに因るものがあってこそ私はよい経験ができたと思います。

 最後にお世話になった人に感謝の気持ちを記したいと思います。病院代表Dr. Vesna、リエカ大学の学生のアンドレ君、研修医のHelena、Dr. Zana、NurseのMarina、中西学長、増山センター長、国際交流センターの大辻さん、そしてすべての関わった人たちへ。みなさんのおかげで私は毎日楽しく、本当に充実した日々を過ごすことができました。この経験ならびに思い出は一生の財産です。心から深く感謝しています。ありがとうございました。Hvala, Hrvatska izvrsno!!!

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