広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

クロアチア留学を終えて

● 烏野 侑子さん (第5学年次)

r03_6.jpg クロアチアで生活し、学び、たくさんの人と出会った日々は、私にとってかけがえのない一ヶ月となりました。英語力に自信がなく、このプログラムに応募するか迷っていた2月頃は、留学の本当の素晴らしさをまだ分かっていなかったように思います。異文化と触れ合うことで視野が広がり、また自分を表現する難しさとその重要性に気付かされる毎日でした。しかし、それ以上に私が感じたのは人の温かさで、病院や寮、街、様々な場所で多くの人と繋がりがあり、朝の一言のあいさつからでも心を通わせることができました。それは旅行でなく、一ヶ月その地に住んだからこそ得ることができたのだと思います。

 今回私は循環器内科で研修し、主にCCUの患者さんを担当しました。朝~夕方、夕方~朝のシフト制で医師がローテーションし24時間対応しています。毎日8:15と14:00からカンファレンスが開かれ、新患や患者さんの様態等について約25名の循環器内科医でディスカッションし、学会や勉強会の報告等も行っていました。カンファレンスの時間になればエコー室で患者さんの診察中であっても、外来患者さんが待っていても関係ありません。日本では患者さんを診察室で待たせることはないと思うので、驚いてしまいました。しかし、先生方にとって、一日2回顔を合わせ意見し合うことは患者さんにとっても必要で大切な時間なのだと、私は思いました。病室は区切られておらず、患者さんは男女関係なく全裸や半裸で横になっています。プライバシーはあまり考えられていないようでしたが、患者さん自身あまり気にする様子もなく、風習の違いに衝撃を受けました。医療機器の数は多くはありませんでしたが整っており、エコー2室・ペースメーカー1室・カテーテル室1室がBolnica病院にはありました。クロアチアには、ある程度の循環器内科医が在籍しカテーテル治療を行える病院が4カ所しかないそうです。そのためBolnica病院には80km離れたところから運ばれるということがよくありました。急性心筋梗塞等は時間との勝負でもあり、また患者さんが集中的に運ばれてくるため本当に忙しいと先生方は言っておられました。ただ日本のように朝から夜遅くまで同じ医師が働くということはなく、プライベートを大切にし、夕方になると家族のために家に帰る姿を見かけました。収入は日本よりも大幅に低く、日本の研修医の約2分の1がベテラン医師の収入に当たるそうです。そのため外国で働く医師が増加し、クロアチアの医師不足の原因となっています。物価を考慮しても、私はその差に驚きを隠せませんでした。疾患によりますが患者さんは基本的に1~2割負担、高齢者は無償で、年配の方がクロアチアには多いため医療費が嵩み、政府は病院施設にまで費用をまわすことが出来ていないと聞きました。そのためカテーテル治療のステントをはじめジェネリックを使用する頻度が高いようです。社会の制度や立場は日本と異なるところもありますが、先生方は医師として仕事できることは誇りだと言っておられました。実習中は研修医の先生が、毎日カルテやカンファレンス内容等全て英語にtranslateしてくれました。私が言いたいことを伝えきれない時も常に笑顔で支えてくれ、医学だけでなく、クロアチアの文化や生活についてもたくさん教えて頂きました。研修医の先生とカフェに行き、一緒に帰ることが毎日の楽しみでもありました。

r03_3.jpg 週末にはビーチやIstra tour・Dubrovnik・Rab island・Plitvicka national parkと様々なところに足を伸ばしました。言い表せないくらい素晴らしい景色ばかりで、クロアチアの方が自国を愛する理由が分かった気がします。また昨年度の留学生や、飛行機で隣の席になった方、道案内をしてくれた大学生、日本語を学んでいる大学生、バス停で一緒に遊んだ子供たち…と病院以外でも数えきれないくらい良い出会いがありました。人と触れ合い、たくさんの温かみを感じることのできた一日一日は本当に大切で、忘れられないものとなりました。

 最後になりますが、私は海外で医療活動をしたいという夢を明確にするために、このプログラムに応募しました。国を越え、患者さんにとってあるべき医師の姿を感じることができた今回の留学は、自分にとって考えていた以上のステップとなりました。将来色々な国の医師とコミュニケーションを取り、仕事を共にしたいという思いが更に強くなりました。

 一緒に留学した益子さん、永尾くん、そしてこのような素晴らしい機会を与えて下さった先生方、国際交流センターの方々に心よりお礼申し上げます。

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