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兵庫医科大学医学会
海外研修報告

コロンビア大学留学を振り返って (2010.4.5~4.30)

● 栗原 侑子さん (第6学年次)

 私は2010年4月の約1ヶ月間、New Yorkにあるコロンビア大学医学部付属のNew York Presbyterian Columbia University Medical Centerで臨床実習を行いました。4年前にこのプログラムを知った時から、コロンビア大学への留学は私の憧れであり、これを目標に医学だけでなく英語の勉強にも力を入れ準備をしてきました。そのため、留学が決まった時には本当に夢のようで、行くからには必ず何かを得て帰ってこようと心に決め日本を飛び立ちました。

Cardiology Fellows
Cardiology Fellows

 コロンビア大学では循環器内科でお世話になり、まず1週目はCCUの配属となりました。毎朝7時からのMorning conferenceでは、コーヒーとベーグル、フルーツを食べながらのdiscussionが行われましたが、この時が私にとって一番心地良い時間でした。その後、午前中はround、午後は担当のFellowについて処置の見学、そしてResidentsの勉強会にも参加しました。初日からCCUに案内されて、いきなり一人でroundに加わることになり、最初は速い英語や広い院内に戸惑いましたが、せっかくのチャンスなのだから一日も無駄にできないと思い、次の日には自分からMedical studentsやResidentsに話しかけ、カルテに目を通し、分からない単語を事前に調べるなどして積極的にチームに参加するよう努めました。まわりの先生方はどんな質問をしても丁寧に教えて下さり、快くチームの一員として参加させて下さいました。最初は自分の話す英語が不安でしたが、とにかく伝えたいという強い思いを持って、身振り手振りでも意思表示をしなければ何も始まらないということを学びました。

 第2週目は心臓血管外科に移り、様々な手術を見学しましたが、中でも特に印象的だったのは心臓移植です。ダイナミックな中に繊細さを併せ持つ手術は一瞬たりとも目を離すことができませんでした。心臓が再び拍動を始めた時の感動は言葉では言い表せません。今後心臓移植の手術を間近で見学する機会はそうないので、本当に貴重な経験となりました。

 第3・4週目はconsultチームを希望しました。担当のFellowと二人で他科のconsult依頼を受けるとベッドサイドで診察をし、検査や治療の計画を立てました。その中で、私は心臓移植しか助かる方法がないドミニカ人の男性を担当しましたが、英語を話せない彼とどうコミュニケーションをとればいいのか分からず、無言で診察することしかできない自分を情けなく思いました。しかし、とにかく毎日ベッドサイドに行き、挨拶などの最低限のスペイン語をFellowに教えてもらうなどして診察を行った結果、徐々に互いに片言の英語で会話するようになり、笑顔もみせてくれるようになりました。最後に彼が言ってくれた言葉は、「毎日、明日君に何を話そうかと考えることで病気のことを忘れられたよ、ありがとう。いい医師になって欲しい。」というものでした。この言葉は私にとって何物にも代えられない宝物です。言葉が十分に通じないからこそ、実際に患者さんに触れて診察することで多くの情報が得られることを実感し、また、相手の表情や声の抑揚にも自然と心を配ることができ、言葉を通じてのコミュニケーションだけでなく、非言語コミュニケーションの大切さにも改めて気づくことができました。

 多忙を極める先生方ですが、休む時は休む、というようにON-OFFが明確で、その意識の高さには刺激を受けるとともに、彼らの有効な時間の使い方は私も見習いたいと思いました。滞在中、週末などにはNYの街へ出かけ、セントラルパークを散歩すると心の底からリフレッシュできました。また、ブロードウェイミュージカルや本場のジャズを堪能したり、博物館や美術館にも足を運んだりするなど豊かな芸術に触れることで心にもゆとりが生まれ、次の実習に臨むことが出来ました。

 今回の留学で出会ったNYの友達や先生方は、私にとってかけがえのない財産となりました。そして、初めて家族と離れ、私がいかに家族に支えられ生きてきたのかということも実感しました。この留学で学び、感じたことをいつまでも忘れることなく、これからの人生に活かせるようがんばっていきたいと思います。

New York Presbyterian Columbia University Medical Center
New York Presbyterian
Columbia University Medical Center

本間教授と心エコー室にて
本間教授と心エコー室にて

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