広報
兵庫医科大学医学会
海外研修報告

コロンビア大学病院(アメリカ) 2008.4.7~5.2

● 平尾 多恵子さん (第6学年次)

 今回の海外実習プログラムは、コロンビア大学及びコーネル大学の附属病院であるNew York Presbyterian Hospitalでの実習を中心としたものでした。

 私は、1ヶ月の前半はCCU、後半は他科からの共観の患者を診るコンサルトチームでお世話になりましたが、ここで私が驚いたのは、上級医師の管理下ではありますが、学生は担当患者さんの治療計画から薬剤などの変更、検査の追加の有無、患者さんやそのご家族への説明、退院計画まで全て自分の意思で行うことです。近年本学でもクリニカルクラークシップが導入され、担当患者さんにより深く関わる機会が増えてはいるものの、それとは比べられないほどの権利と責任を学生は担っていました。実習中大変珍しい疾患を抱えた患者さんがいましたが、その患者さんの担当となった学生は、自ら最新の文献などから考察し、検査結果の分析を行いながら治療にあたっていました。教科書に載っていないようなことでも、自ら様々な方法で治療法を導き出し、実践するその姿は大変驚きました。臨床実習システムが日本とは異なるとはいえ、数ヵ月後には自分も卒業して医師として働くときには当たり前にできなければならないことを、その時あらためて実感させられると同時に、医学生の自覚と責任感を目の当たりにして、自分自身の姿勢も正される思いでした。

 実習中、私がもうひとつ驚いたことは、アメリカの医療保険制度の実態です。日本は、国民皆保健制度のもと、国民は安心して平等な医療を受けることができるシステムになっていますが、アメリカでは保険に入っている国民はごく一部のため、十分な医療を受けることができません。提供される医療はその保険の有無によって区別されるため、医療は決して平等なものではなく、その格差は想像以上のものでした。臨床現場や研究分野において最先端をいくアメリカですが、例え高度医療を提供できる施設であっても、その医療を提供することができないことは、アメリカの医療が抱えるジレンマを垣間見たような気がしました。

 1ヶ月間という短い期間の実習でしたが、良医になるためには、患者さんを治療するための知識や技術を習得するだけではなく、医師である前に一人の人間として他者に思いやりをもって接することができるような人格の形成が大事であることを、アメリカだけでなく、日本での実習の際にも多くの先生方から教えていただきました。「良医」の定義は、アメリカ、日本だけでなく世界共通の認識だと理解し、今後医師として働くようになっても決して忘れることのないよう心に留めておきたいとあらためて思いました。

 1ヶ月間という短い期間の実習でしたが、毎日が驚きと発見の連続で、様々な人との出会いや体験は、今後の私の人生に大きな影響を与えてくれることと思います。

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