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兵庫医科大学医学会

腫瘍免疫制御学

講座(部署)紹介

当該研究室は平成23年4月より、寄付講座、腫瘍免疫制御学教室として発足した。講座は特任教授1、特任助教1、数名の実験補助員より構成されている。研究の中心をなすものは、本学で発見されたIL-18の核心的な生物学的役割の解明と医療での実用化を目指すものである。

研究の現状

概要

IL-18の活性化機序であるinflammasomeの発見によって、IL-18は様々な細胞の増殖、分化、生存に深く関わる因子であることが示唆された。このような考察と合致して、IL-18が活性化リンパ球の増殖を強く促進することを我々は観察しており、そのような特性に基づいた癌の免疫治療への応用を探っている。

一方、IL-18はER stress response, autophagy などにおいて重要な役割を持っていることを観察しており、IL-18が様々な疾患の病態と関係すると考え、IL-18の作用機序解明を試みている。



主題
  1. IL-18の生物学的な役割の解明
    IL-18の研究は免疫・炎症における役割についての研究から始まった。 一方IL-18は様々な非免疫細胞でも作られているが、IL-18の病理学的役割や医療応用の可能性を探るためにはIL-18の細胞生物学的な役割を解明する必要がある。Inflammasomeの発見はIL-18の産生機序の解明に大きく貢献したが、その時産生されるIL-18の働きについては十分に解析されていないので、細胞生物学的、分子生物学的な方法でそれを解明することを目指している。
  2. 腫瘍の免疫治療へのIL-18の応用
    これまでの当該研究室の研究によってIL-18 が活性化されたリンパ球、CD8陽性T細胞、γδT細胞、NK細胞などの増殖を顕著に促進することが明らかになっている。これらの細胞は強い抗腫瘍作用を持っていることから、IL-18は腫瘍の免疫治療に応用できる可能性があり、最近米国で承認された抗体薬、抗CTLA4, PD-1/PDL1抗体などとIL-18との組み合わせによる治療効果増強を目指して動物モデルを用いた研究をしている。


自己評価・点検及び将来の展望

上述のように当該研究室では活性化の刺激を受けた、CD8陽性T、γδT、NK細胞などの生存と増殖をIL-18が著しく増強することを報告している。 その中で活性化ヒトγδT細胞の増殖を促進する、CD56brightCD11c+(CD80/86 +,NKG2D+)のNK様細胞がIL-18によって誘導されることなどを明らかにするとともに、この細胞の誘導の機序について解析した(J. Immunol.2011、PLOS-one, 2013)。 この新奇NK様細胞はマウスのIKDCs (IFN-producing killer dendritic cells or B220+ NK cells) とよく似ており、メモリー型のCD8陽性T細胞の活性化、増殖も増強する。

マウスIKDCsは癌組織への侵入能力が高く、極めて強い抗腫瘍作用を持つといわれている。 またメモリー型CD8陽性T細胞はγδT細胞とよく似ており、いずれも多くの癌種に対して強い細胞傷害作用を持つことからIL-18によって誘導され、IKDCsに似た性質を持つこのCD56brightCD11c+のNK様細胞は腫瘍の免疫治療に用いられる可能性がある。実際マウスの腫瘍腹膜播種モデルを用いた治療研究では抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体とIL-18との組み合わせにより顕著な治療効果が見られた(投稿準備中)。

一方我々はリンパ球に対するIL-18の作用についての研究から、IL-18がPI3K/Aktのような細胞の生存や増殖に関係するシグナルを高めること、Bcl-2, Bcl-XLのようなミトコンドリアの機能を保護する働きを持つ因子を高めることなどを報告している。

また、最近の研究で我々は、IL-18がPI3K も含めてER stress response, autophagyなどに関与する蛋白を誘導すること、ミトコンドリアやERの量に大きな影響を与えることを見出しており、IL-18の中心的な生物学的役割の解明に近づけると思っている(投稿準備中)。IL-18の細胞生物学的な役割の解明はさまざまな神経変性疾患などの疾患の解明につながると思われる。


責任者 岡村 春樹 特任教授



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