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兵庫医科大学医学会

内科学(呼吸器科)

講座(部署)紹介

悪性胸膜中皮腫・原発性肺癌を始めとする呼吸器悪性腫瘍を主題に、COPD、気管支喘息などの良性呼吸器疾患も対象に、基礎研究を含めて総合的に研究を推進している。

<悪性胸膜中皮腫や肺癌などの呼吸器悪性腫瘍>

  1. 臨床応用可能な中皮腫の診断に有用なバイオマーカーの開発
  2. アスベスト発癌の分子生物学的解析
  3. 中皮腫治療における免疫チェックポイント阻害剤の可能性に関する研究
  4. 特殊光内視鏡システムを導入した新しい胸膜疾患の診断技術の開発
  5. 抗癌剤の薬物動態に関する研究
  6. 肺癌の新規治療法の開発


<良性呼吸器疾患>

  1. 慢性閉塞性肺疾患および気管支喘息の病態生理の解析
  2. 呼吸器感染症に関する研究
  3. 間質性肺炎・肺線維症の病態解明と治療法の開発


上記内容を中心として、基礎および臨床研究を積極的に行なっている。

研究の現状

概要

呼吸器悪性腫瘍、胸膜疾患、間質性肺炎・肺線維症などの病態解明と新規治療法の開発を目的として、 基礎的および臨床的研究を行っている。環境因子と発癌に関しては胸部腫瘍科の研究成果も併せて、トランスレーショナルリサーチを展開し、急増する中皮腫の診断および予後予測に有用な新規バイオマーカーの開発にも取り組んでいる。

主題

  1. 悪性中皮腫における臨床応用可能なバイオマーカーの開発:
    中皮腫の診断および予後予測に有用な新規バイオマーカーを探索している。正常では胸膜、心膜、及び腹膜を構成する中皮細胞に発現し、その過剰発現は中皮腫、卵巣癌などの癌において認められるMesothelinの、可溶性 Mesothelin 関連蛋白質であるSMRP(Soluble Mesothelin-related Peptides)の血清中濃度を CLEIA 法による定量的な測定法を開発し、血清SMRPが中皮腫に特異性の高い血清診断バイオマーカーであることを明らかにした。さらに胸水SMRPは悪性胸膜中皮腫の早期診断および予後予測指標となる可能性も実証した。  現在、血清中SMRPが、腫瘍の進行中に上昇すると同時に腫瘍サイズと相関し、病勢の進行及び治療効果をモニタリングするのに有用なマーカーとなり得るか否か、検討中である。
  2. 呼吸器悪性腫瘍における末梢循環血液中腫瘍細胞circulating tumor cell (CTC)の臨床的意義:
    アスベスト発癌の分子生物学的解析に関連して、肺癌および悪性胸膜中皮腫の早期症例において、末梢循環血液中腫瘍細胞(CTC) の臨床的意義について研究している。これまでに、CTCは呼吸器腫瘍性疾患においては検出されるが非腫瘍性疾患では検出されないことを明らかにしており、CTCが呼吸器悪性腫瘍の早期診断指標となる可能性が示唆されている。(本学呼吸器外科との共同研究)
  3. 悪性胸膜中皮腫における免疫チェックポイント阻害剤の作用に関する研究:
    現在用いられている細胞傷害抗癌剤は、様々な機序で癌細胞の増殖と進行を限止し最終的に悪性細胞を破壊するが、それらは一般的に腫瘍細胞を選択して作用するものではないため、正常細胞をも破壊して生理機能を混乱させ有害作用を伴うことがしばしば見受けられる。さらには、現在のそれら抗中皮腫薬による治療成績は決して満足できる成績ではない。これに代わる癌治療法が、腫瘍本体ではなく 免疫系を標的とするもの【免疫療法】である。腫瘍に対する宿主自身の免疫応答を強化することにより有効性を高め、その持続期間の延長が免疫療法の利点と考えられる。免疫療法を基本とした治療法に反応する特徴を有する中皮腫に対して、現在当科では、主として活性化されたT 細胞に発現する細胞傷害性 Tリンパ球抗原 4 (CTLA-4)分子に結合する、抗CTLA-4ヒトモノクロナール抗体 (mAb)や、programmed death ligand l (PD-Ll)に対する免疫グロブリンサブクラスG1κ(IgGlκ)のmAbの、抗腫瘍免疫効果を検討している。
  4. In vitro抗癌剤感受性試験を用いた中皮腫個別化治療の試み:
    抗癌剤に自然耐性である中皮腫にとって感受性のある抗癌剤を選択することは極めて重要な問題である。 個々の患者の腫瘍特性に応じた個別化治療の実用化を目的として、腫瘍組織および体腔液から単離された中皮腫細胞を用いたCD-DST法による in vitro抗癌剤感受性試験を実施している。
  5. 特殊光内視鏡システムを導入した呼吸器内視鏡診断法の構築:
    新しい蛍光観察システムであるautofluorescence imaging (AFI)および狭帯域観察によって粘膜微細構造の強調画像表示が得られるnarrow band imaging (NBI) を気管支鏡および胸腔鏡検査に導入した。早期肺癌および早期悪性胸膜中皮腫の症例を集積し、その所見の意義を検討中である。
  6. 化学療法抵抗性悪性胸膜中皮腫患者を対象としたGEN0101胸膜腫瘍内投与、皮下投与による安全性/忍容性及び予備的な有効性検討のためのオープンラベル用量漸増試験(第I相)
    【大阪大学医学部附属病院呼吸器センターと共同研究の医師主導治験】
    GEN0101【HVJ-E: Hemagglutinating virus of Japan Envelope】(不活化センダイウイルス粒子)は、パラミクソウイルス属のウイルスであるHVJ (Hemagglutinating virus of Japan)を完全に不活化した粒子で、ヒトへの病原性は認められず、増殖能もない。当初は、その細胞癒合能力から遺伝子導入ベクターとして研究が進められていたが、自然免疫(NK細胞)と獲得免疫(細胞傷害性T細胞)を活性化し、制御性T細胞の機能を抑制することで、活性化した抗腫瘍免疫を持続的に維持する作用を有することで、HVJ-E単剤に抗腫瘍効果が認められた。実際に、MSTO-H211ヒト悪性胸膜中皮腫株胸壁移植CB-17/SCIDマウスモデルを用いて実施した非臨床薬理試験においては、本剤の腫瘍内局所投与ならびに2週間間歇皮下投与により、統計学的有意な腫瘍縮小効果が確認され、抗癌剤とは違った機序による抗腫瘍効果を認め、現在の医師主導治験が計画され、実施している。

自己評価・点検及び将来の展望

悪性中皮腫・肺癌などの呼吸器悪性腫瘍や胸膜疾患を研究テーマとして、基礎から臨床に至る幅広い研究を推進してきている。これらの成果は欧米の学術誌に発表することで評価を得ており、海外へ向けた情報発信が重要と考える。特に, 中皮腫をテーマとした研究は豊富な症例数を背景として質の高いトランスレーショナルリサーチが展開できるものと考えている。今後、これまでの研究成果をさらに発展させ、慢性閉塞性肺疾患やアレルギー性肺疾患などの病態解明にも役立てていくことを予定している。


木島 貴志 主任教授
責任者| 木島 貴志(主任教授)
准教授| 田端 千春、栗林 康造
講師| 南 俊行、三上 浩司
TEL| 0798-45-6596
FAX| 0798-45-6597

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