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兵庫医科大学医学会

公衆衛生学

講座(部署)紹介

当講座の主要な研究テーマは、大気汚染物質の健康影響を中心とした環境保健であり、呼吸器・アレルギー疾患等と環境因子との関連について疫学的・実験的研究を行っています。

自動車排出ガスの健康影響に関する大規模な疫学研究のほか、近年注目されている大気中の微小粒子状物質(PM2.5)及び光化学オキシダントが呼吸器系に及ぼす影響について、日本国内だけでなく、中国の研究機関との共同研究を行っています。また、環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」にも参加している他、産業保健、地域保健、感染症対策についての研究を行っています。

医学教育では、4年生を対象に「保健・医療・福祉と介護の制度」を担当し、地域保健、産業保健、環境保健、国際保健等を含む社会医学に関する講義を行っています。本学の教育の大きな特徴として、5年生の臨床実習の一部として公衆衛生学実習を実施し、小グループで地域社会における保健医療活動を体験し、幅広い視野と総合的判断力の習得を目標としています。

社会活動にも積極的に参加し、国、兵庫県、県内各市の様々な審議会等の委員を務めているほか、海外在留邦人を対象とした健康安全講話を行うなど、社会への貢献を目指しています。

研究の現状

概要
主要な研究テーマは環境保健であり、大気汚染が人の呼吸器・アレルギーに及ぼす影響を中心として疫学的・実験的研究を行っている。わが国では工場由来の大気汚染は改善したが、近年は微小粒子状物質(PM2.5)やオゾンによる大気汚染が問題となっており、中国からの越境汚染にも着目して、グローバルな視点から研究を行っている。環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」等、臨床医学系講座や地域の医療機関との共同研究も進めている。


主題
  1. 大気汚染物質の呼吸器・アレルギー系に及ぼす疫学的研究
    大気汚染と気管支喘息、花粉症等の呼吸器・アレルギー疾患の関連についての疫学研究を実施している。自動車排出ガスと気管支喘息の発症との関連を明らかにするため、環境省の「局地的大気汚染の健康影響に関する疫学調査-そら(SORA)プロジェクト」に参加し、小学生、幼児、成人を対象とした3つの大規模な疫学研究を実施した。その結果、小学生において自動車排出ガスと喘息発症の関連性を認めるなど、多くの知見を得ている。
  2. 大気汚染の短期的変動が気管支喘息の病態に及ぼす影響に関する研究
    兵庫県姫路市医師会では、長年にわたって市内の46医療機関において気管支喘息発作数を居住地区別に集計している。医師会の協力を得てこのデータを活用させていただくとともに、微小粒子状物質(PM2.5)等の連続測定を行い、大気汚染の短期的変動が気管支喘息の増悪に及ぼす影響について検討を行っている。また、越境汚染の健康影響を評価するために、周辺に主要な大気汚染源のない地域でも疫学調査を行っている。
  3. 中国における大気汚染の健康影響に関する研究
    中国では重化学工業化に加えて、急速な都市化に伴う自動車の増加により大気汚染状況は深刻かつ複雑化しており、また国境を越えて日本にも飛来している。その健康影響を明らかにするため、北京大学、武漢大学等との共同研究を行い、中国のいくつかの大都市において、石炭燃焼や自動車排出ガスに由来する大気汚染物質への曝露が呼吸器、循環器系に及ぼす影響の評価を行っている。
  4. 大気汚染物質の健康影響指標に関する研究
    大気汚染物質の健康影響を評価する生化学的指標に関する基礎的な検討を行っている。動物実験では、大気汚染物質に曝露したラット肺胞内は線溶亢進状態となり、炎症性蛋白成分の変化が認められること、卵白アルブミン感作マウスはオゾンに曝露すると呼吸抵抗が増加し、動肺コンプライアンスが低下することを明らかにした。現在は、呼気ガス及び呼気凝縮液の分析等の方法を用いて、より鋭敏で客観的な指標についての検討を行っている。
  5. 水痘・帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫の評価に関する研究
    帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)により引き起こされる感染症であり、生体の細胞性免疫が低下すると、体内に潜伏しているVZVが再活性化し、帯状疱疹の発症するリスクが高くなると考えられる。本研究では、簡便にVZVの細胞性免疫を測定する方法を用いて、帯状疱疹患者の細胞性免疫の動態、健常者の水痘ワクチン接種前後の細胞性免疫の変化等を評価し、帯状疱疹の発症を予防するための方法を検討している。
  6. 地域保健医療・臨床疫学に関する研究
    臨床医学系講座、地域の医療機関等と共同で、花粉症・アトピー性皮膚炎に関する臨床疫学的研究、睡眠時無呼吸症候群等に関する疫学研究等を行ってきた。現在は、子どもの成長や発達と環境要因との関係を明らかにするため、学内の関連講座、阪神地域の多くの医療機関と共同で環境省の「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に取り組み、妊娠中から子どもが生まれて13歳になるまでのコーホート研究を行っている。


自己評価・点検及び将来の展望
公衆衛生学における研究は、地域社会との関係を重視し、住民の健康増進や疾病予防に貢献することが求められる。広範な環境保健分野の課題に取り組み、環境因子の健康影響を明らかにして、環境汚染による健康被害の予防に結びつけていきたい。特に、PM2.5の健康影響は社会的に高い関心が持たれていることから、研究成果を学会や学術誌等で積極的に発表していきたい。また、中国等の経済成長の著しい地域では深刻な大気汚染が続いており、日本への越境汚染の影響も懸念されるなど、大気汚染はグローバルな問題へと変貌している。そのため、国際的な観点からの研究が必要とされており、今後はより一層国内外の研究者との共同研究を推進したい。感染症対策や地域保健医療の分野では、予防と健康増進のためのEvidenceを確立することが重要であり、臨床医学系講座、地域の医療機関、地方自治体等との協力連携により臨床疫学的研究を展開したい。


島 正之 主任教授
責任者| 島 正之(主任教授)
専門分野:環境保健、呼吸器・アレルギー疾患の疫学
講師| 大谷 成人、山本 良二
TEL| 0798-45-6566
FAX| 0798-45-6567

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