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兵庫医科大学医学会

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

講座(部署)紹介

聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚などの感覚医学と頭頚部腫瘍を2大柱とする。全国有数の症例数から得られる鼓室形成術・内視鏡下鼻内手術の術式の開発、ナビゲ-ションシステムの応用、めまい患者に対するEpley法・VEMP検査の改良、顔面神経麻痺に対するENoG検査の改良や治療法の開発、全国で数少ない嗅覚・味覚専門外来における治療法の開発、耳管機能外来における診断および治療法の開発、頭頚部癌に対する集学的治療を特色とする。以上の豊富な症例に基づいて、各領域の臨床研究をprospectiveに行っており、臨床課題の英語論文が毎年数編出ている。

研究の現状

概要
耳鼻咽喉科は、聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚・触覚と、五感の多くを担っている。当科は、これらの感覚障害や頭頸部腫瘍について、以下に示す主題のごとく、研究診断・治療法の開発に関する臨床研究を行っている。


主題
  1. 真珠腫の手術方法の改善:
    従来、真珠腫に対する手術方法は各施設の術者の判断により種々の手術が行われ、手術後の長期成績に対しての各施設間の検討は術式の相違のため困難であった。当科では、症例(進展範囲,患者の年齢・合併症の有無、聴力など)に応じた手術術式の選択を提唱し、良好な治療成績を得てきた。また患者が仕事を持っている場合には通院の負担が少ない手術を行なう事を検討している。
  2. 両側穿孔性慢性中耳炎に対する両側同日手術:
    従来、両側慢性中耳炎の手術には2回の入院が必要であった。湯浅により開発された接着法による鼓膜形成術(1989)を少なくとも一側に応用し、両側を同日一回で手術する術式を開発した。これは、患者の経済的時間的負担は軽減するものであり、全国に普及してきている。
  3. 半規管瘻孔を伴う真珠腫性中耳炎の手術:
    鼓室形成術はほぼ完成された術式とはいえ、術後の感音難聴やめまいの危険性が僅かながらも存在する。それ故、半規管瘻孔を伴う真珠腫性中耳炎の手術は慎重を要し、また耳科医にとってチャレンジングな手術である。当科では、これまでの手術症例の経験を元に、その手術法、手術成績を解析した。
  4. 嗅覚障害の治療:
    当科に初診する嗅覚障害症例は年間200例と多い。QOLの向上に伴って嗅覚患者は今後も増加が推測されるが、本邦で保険適応のある嗅覚検査は普及しきれていない。そこで当科では、簡易に嗅覚を評価できる「日常のにおいアンケート」を提唱し(日本鼻科学会)、その普及に努めている。また、当科の嗅覚専門外来では、嗅覚障害の原因・病態を正確に診断し、適切な治療を行いその成績について検討している。
  5. 好酸球性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術:
    両側、鼻茸、篩骨洞優位、好酸球増多を呈する疾患で難治性疾患である。嗅覚障害、アスピリン喘息、好酸球性中耳炎を合併する。本疾患の治療は、ステロイド薬物療法と内視鏡下副鼻腔手術が基本となる。術後も十分な治療を行い、治療成績の向上に努めている。また、ステロイドとは別に有効な薬物を探索している。鼻の主な二大機能である鼻呼吸、嗅覚について成績を検討している。
  6. 慢性副鼻腔炎での術後再発:
    我々は内視鏡下副鼻腔手術後の鼻内の評価法の一つとして術後内視鏡スコア(E score)を提唱し、そのスコアの有用性を検討している。上記の好酸球性副鼻腔炎など、発症因子および再発因子を調査し、治療成績の向上を目指している。
  7. アレルギー性鼻炎の治療:
    当科ではアレルギー性鼻炎の重症例を扱うことが多く、手術治療(主に鼻中隔彎曲の矯正、下鼻甲介手術など鼻腔形態を整える手術)が必要となる症例が多い。手術成績を向上すべく新しい治療法の開発を検討している。
  8. 頭頸部腫瘍の治療成績:
    当科では、頭頸部腫瘍の治療方針を放射線科、形成外科、口腔外科など他科との連携のもと、専門スタッフのカンファレンスによって決定している。診断、治療を行った様々な頭頸部腫瘍について臨床的及び病理学的に検討を行い、治療成績の向上を目指している。
  9. 喉頭摘出後の音声獲得:
    喉頭癌手術後の音声獲得には、食道発声が一般的であったが、当科ではボイスプロテ-ゼ(プロボックスTM)を挿入することにより、容易に発声可能となり、また発声時間も長く獲得できることを示した。下咽頭・喉頭摘出を行い、欠損部を空腸で再建した後に、気管・空腸瘻を作製の上プロボックスTMを挿入し、音声を獲得できることを証明した。
  10. 超選択的動注化学療法やIMRT:
    主に進行した鼻・副鼻腔癌や聴器癌に対して、超選択的動注化学療法併用の放射線治療を行い、臓器温存や機能温存を実現しつつ良好な治療成績を収めている。
  11. 味覚障害の臨床研究:
    当院では全国でも数少ない味覚外来を設置している。味覚機能評価、原因究明、治療を行うとともに2500例以上の症例に対して統計学的検討を行っている。65歳以上の高齢者でも若年者と比較して治療期間は有意に長期にわたるものの改善率に有意な差はなく、積極的な治療が望まれる。改善率の更なる向上を目指すべく当科では東洋医学的な側面での原因追及を行い、漢方エキス剤の使用も積極的に行っている。
  12. 中耳手術後の味覚障害:
    鼓膜裏面には鼓索神経が走行し、中耳手術中に器具の接触や神経の牽引、もしくは神経切断するために術後味覚障害やしびれなどが発生する。それがどの程度回復するかはこれまで追求されていなかった。我々は、鼓索神経を保存すれば、若年者ほど回復率が高く、炎症の少ない疾患は術後の症状が強いこと。高齢者ほど術後の症状が少ないことを見出した。これらは、患者説明に役立ち全国的に認められている。
  13. アブミ骨手術における術後めまいの検討:
    アブミ骨手術は固くなったアブミ骨底板に穴をあけ、代替組織の置換やピストンの挿入を行う手術で、それにより聴力の改善を図るものである。この術後にめまい症状を伴う場合があることは知られているが、その機序は解明されていない。アブミ骨の底板は内耳とつながっており、内耳平衡を司る末梢前庭器への影響が考えられる。術前後に内耳平衡機能検査を行うことで、手術による末梢前庭器(三半規管や前庭)への影響を検討している。
  14. VEMP(誘発筋電位)の改良・応用:
    VEMPは球形嚢と卵形嚢の機能を調べる検査であり、比較的新しい検査法である。従来の検査で原因不明であっためまい症に対してVEMPを行うことにより、原因の解明を行っている。また、めまいを伴う疾患で現在も機序が不明なラムゼイハント症候群(ウイルス性顔面神経麻痺)や耳管開放症にもVEMPを行っている。
  15. 耳管開放症の診断、治療
    耳管開放症は、自声強聴、呼吸音聴取、耳閉感といった不快な耳症状を起こす疾患である。当科では、より簡便に確実な診断を行う方法や有効な治療法の開発を行っている。
  16. 顔面神経麻痺の診断、治療:
    顔面神経麻痺の予後診断として重要なENoG検査や予後評価のための表面筋電図検査、Blink Reflex検査を用いた検査法の改良、開発を行っている。また、薬物治療、手術治療、リハビリテーションを組み合わせて治癒率向上を目指している。


自己評価・点検及び将来の展望
これまで耳、鼻、咽喉頭、頭頸部領域での臨床研究を中心として進めてきたので、英文論文での発表は臨床系医学雑誌がほとんどであった。今後は臨床研究のさらなる推進と並行し、臨床研究の結果を動物実験で裏付けることが必要であると考え、基礎医学教室との連携を深め各領域の基礎研究を推進しているところである。

阪上 雅史 主任教授
阪上 雅史 主任教授
責任者| 阪上 雅史(主任教授)
専門分野:中内耳手術、味覚障害の診断と治療
臨床教授| 三代 康雄
准教授| 都築 建三
講師| 寺田 友紀、任 智美、宇和 伸浩、大田 重人、桂 弘和
TEL| 0798-45-6493
FAX| 0798-41-8976

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