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兵庫医科大学医学会

腎移植センター

研究の現状

概要

腎移植の診療を主たる業務として臨床研究も行っている。泌尿器科・腎透析科・小児科の兼任医師と院内レシピエントコーディネーター(看護師および事務職員)により構成されている。



主題
  1. 腎移植における抗ドナーHLA抗体が移植腎予後に及ぼす影響について
    遺伝子レベルのドナーHLAに対する抗体の経時的変化と移植腎機能および生検組織における拒絶反応の関連を検討する。抗ドナー抗体の推移から抗体関連拒絶反応の発症リスクを予想することによって予防あるいは早期治療プログラムを作成する。
  2. ICFA-クロスマッチ法の有用性と抗体関連拒絶反応の関連について
    抗ドナーHLA抗体の新規検出法であるICFA−クロスマッチの結果と抗体関連拒絶反応の相関を検討し、臨床腎移植における有用性を確認する。現在までの研究成果で良好な相関を認めており、さらに症例を重ねることで現行のマイクロビーズを用いた特異的抗体検出法よりも安価で簡便な本法が実地臨床において重用されると予想される。
  3. 新規免疫抑制剤エベロリムスの有用性の検討
    本年から臨床応用が開始となったエベロリムスを導入し、現在の免疫抑制療法の欠点であるカルシニューリン阻害剤の慢性腎毒性に起因する移植腎機能の長期的低下の抑制をはかる前方視的研究を実施中である。研究課題として、 (1)エベロリムスの投与による腎機能の短期的および長期的改善; タクロリムスまたはシクロスポリンの減量による腎毒性軽減効果とエベロリムスのもつ細胞増殖抑制に基づく腎硬化の進行抑制効果を検証する、 (2)エベロリムスの至適投与量検討; 併用するカルシニューリン阻害薬の違いによりエベロリムス代謝が影響を受け血中濃度が変動する事が報告されているが、日本人における報告例は少ないため、エベロリムス血中濃度測定と免疫抑制効果に基づいた投与量の設定を行う、 (3)併用免疫抑制剤の投与量設定; エベロリムスと併用するカルシニューリン阻害薬・代謝拮抗薬の用量設定を行う、 (4)エベロリムスの副作用研究; 日本人腎移植患者における副作用調査は症例数が少なく不明な点が多いため、詳細な副作用調査により安全な使用法を検討する。
  4. リツキシマブおよびガンマグロブリン製剤(IVIG療法)を使用した移植前脱感作療法の検討
    移植腎生着率に最も強い悪影響を及ぼす抗体関連拒絶反応を予防するため、ABO血液型不適合腎移植および抗ドナー抗体陽性腎移植症例に対し、CD20抗体であるリツキシマブとガンマグロブリン製剤を導入した術前および術後の脱感作療法の前方視的研究を実施中である。現時点で良好な治療成績をおさめている。
  5. 生体腎移植ドナーに対する低侵襲手術の検討
    健康成人の生体腎ドナーに対して侵襲的治療である移植腎採取術を可能な限り安全かつ低侵襲とするため、腹腔鏡または後腹膜鏡下手術によって腎採取を行っている。合併症、出血量、術後ドナー腎機能、移植腎機能、ドナー長期予後について長期的継続調査を実施中である。
  6. 先行的腎移植の有用性と問題点の解析
    近年末期腎不全の初期治療として透析治療ではなく腎移植を選択するケース(先行的腎移植)が増加している(生体腎移植の20−30%)。利点として長期間の透析治療に伴う全身合併症がみられない事から移植予後が良好である事が報告されているが、一方で透析を経た患者と比較して移植直前の免疫抑制治療開始時に副作用が強い等の特徴が見られ、移植当初の劇的な体調変化が患者に及ぼす影響が大きいことが判明している。安全かつ円滑に腎移植治療に移行できる事を目的として、移植術前透析期間の違いによる移植導入治療のテーラーメイド化を検討する。
  7. 末期腎不全の治療選択における患者啓蒙
    慢性腎不全で治療を受けている患者が末期腎不全に陥った時に提示される治療選択として血液透析・腹膜透析・腎移植があるが、実際に腎移植を受けた患者へのアンケート結果から上記の治療optionを知らずにまず血液透析に導入されている患者が多い事が報告されている。腎不全患者が治療を選択する際の要点は(1)自身の希望、(2)患者の全身状態であり、この双方の条件を十分に検討して治療を選択する事が必要である。このためには患者自身が上記の治療選択について十分な情報を知る事が重要で、腎移植の長所と欠点を含めた具体的情報を啓蒙する事が求められる。外来診療・講演会・市民公開講座・患者会との交流等を通じて移植医療の情報を提供し、より多くの移植を希望する患者が治療を受けられるよう啓蒙活動を継続する。


自己評価・評価及び将来の展望

一般的に難治性である事が知られている抗ドナー抗体関連急性拒絶反応の治療成績は、当科の治療プロトコールを用いることによって1例を除いてすべて緩解し長期生着が得られており、良好な研究成果が得られている。新規免疫抑制薬であるエベロリムスの有用性・至適使用法を確立するため、当センターで多数例の臨床データが集積中であり、今後数年にわたり新しい知見を提供できることが期待される。これらの研究により現在も高い水準を維持している患者生存率・移植腎生着率の更なる向上と腎移植症例数の増加が期待できることに加え、移植医療への最先端の情報発信が可能となることが期待される。


スタッフは全て兼任
センター長 野島 道生 教授
副センター長 竹島 泰弘 主任教授・中西 健 主任教授・山本 新吾 主任教授
スタッフ 兼松 明弘(准教授)・鈴木 透(講師)・呉 秀賢(講師)・東郷 容和(講師)・橋本 貴彦(助教)・山田 祐介(助教)・海邉 正治(助教)木田 有利(助教)・柴野 貴之(助教)・名波 正義(助教)・八尋 真名(助教)・中西裕佳子(助教)・水崎 浩輔(病院助手)・長池 紋子(院内レシピエントコーディネーター事務員)・三角文子(院内レシピエントコーディネーター看護師)・市川 靖二(非常勤:特別招聘教授)



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