医学部 - 講座紹介
救急・災害医学
専門部門(臨床医学系講座)
(1) 救急医学医療としての研究
臨床においては、外傷や疾病による過大侵襲、敗血症や重症COVID19の疫学、後ろ向きコホート研究を、基礎研究では敗血症、DICにおける生体反応の機序の解明と新しい治療法の開発を中心に展開しています。
<臨床研究>
- 重症COVID19疫学研究、後ろ向きコホート研究
- 重症外傷症例における初療対応、集中治療管理研究
- 敗血症関連
・ノルアドレナリン不応答への新規治療戦略
・抗凝固療法によるNETs抑制のメカニズム
・NETsによる臓器障害 - DIC疫学研究
- ショックと生体防御機構
- 敗血症性ショックに対する早期経腸栄養と高タンパク質投与の可能性
- 外傷性脊椎損傷、骨盤骨折の治療方法
- 術後の重大合併症の予防と対策
- PHR(Personal Health Record)による次世代型救急搬送システムの開発と構築
<基礎研究>
- 敗血症関連
・性ホルモンと肺障害の関連(好中球機能の解明)
・女性ホルモン類似物質による敗血症性心筋症治療の可能性
・フドステインの敗血症性ショックにおけるノルアドレナリン不応答治療の可能性
・女性ホルモン類似物質の敗血症時の過活性化好中球機能制御について(科研費取得) - 好中球NETs関連
・重症患者の好中球アポトーシス、NETs、および凝固障害の関連を敗血症患者の検体を用いた研究(科研費取得) - 水素ガス関連
・抗酸化作用に着目した臓器障害軽減の研究
・水素吸入による肺障害の軽減(科研費取得)
(2) 災害医学医療としての研究
- 救急現場(病院前救護)をモデルとした災害現場と指導医療施設間で高品質な情報通信システムの開発
- 災害通信システムにも転用を目指した病病連携構築のためのリアルタイム画像情報通信システムの開発
- 実際の災害医療経験とデータに基づく研究:
特に当科はJR福知山線脱線事故では現場医療に加えて、病院でも113名の患者を受け入れ、多数同時発生患者に対するトリアージと治療の経験、さらに2時間40分の詳細なビデオ映像記録があり、貴重な研究資料となっています。また、災害医療に対応した職員が多数おり、医療者の心の研究において貴重な研究対象となっている救急現場(病院前救護)をモデルとした災害現場と指導医療施設間で高品質な情報通信システムを開発しています。
自己評価・点検及び将来の展望
臨床研究では多くを受け入れた重症COVID19患者の疫学研究、後ろ向きコホート研究を、基礎研究では、新しい研究テーマに挑み、病態の根幹に関わる基礎研究を推し進めています。初期段階ではありますが、重要な新知見を発見し公的資金を取得しています。今後は、研究成果を臨床現場に直接還元できるような、さらなる効率的な研究システムを推進します。