医学部医学科
資料請求
情報の公表
図書館
兵庫医科大学医学会

内科学(循環器内科)

講座(部署)紹介

当教室では循環器領域での基礎的研究のみならず臨床的研究も内科学冠疾患科と共同にて積極的に行っています。対象も心不全、冠動脈疾患、高血圧など循環器病全般にわたっています。また教育・研究・診療のさらなる発展のため、国内・海外研究機関との共同研究や留学などの人事交流も積極的に行っています。

  1. 心不全の病態生理と治療に関する研究:
    心筋肥大や線維化を調節する神経体液性因子やサイトカインの動態に注目し、これらを生化学的・分子生物学的に評価している。創薬への応用を視野に入れ、心不全発症の分子メカニズムを解明する。
  2. 非代償性心不全急性期治療における至適ループ利尿薬投与法の開発:
    非代償性心不全に対する、利尿薬の至適使用法についての研究を、臨床、基礎の両面から行い、その結果をガイドラインにも反映されることを目指す。
  3. 高血圧症の病態生理と治療に関する分子生物学的研究:
    高血圧性臓器障害の発症・進展における微量元素やその関連蛋白の関与に着目し、その解析に基づく治療戦略の開発を行う。
  4. 画像診断法による粥腫組織性状評価:
    光干渉断層装置から後方散乱信号を直接導出し、単なる強度だけではなく、規則性や不均一性を評価するシステムを構築することにより組織性状診断を試みる。

研究の現状

概要
循環器疾患の中で、心不全・高血圧・動脈硬化・不整脈・心機能を中心に基礎および臨床研究を行っている。慢性心不全急性増悪に対する高張ナトリウム輸液/フロセミド療法の効果・安全性についての多施設臨床研究(CONFIRM ADHF試験)を当科主導で開始し、継続して行っている。当教室では今後も基礎研究を臨床へ応用できる体制を強化し、一般病院では行えない最新の循環器治療を患者様に提供し続けていきたい。


主題
  1. 分子学的手法を用いた心不全増悪機序解明の基礎研究:
    マウス大動脈縮搾術モデルにおいて、L-18の急性圧ストレスによる心不全の役割の検討ではIL-18がAMPKを活性化することが心筋保護に必須であることを明らかとした。この研究結果を現在発表準備中である。
    IL-18が急性圧負荷による心筋保護に必須であること、その機序として、AMPKが重要な役割を果たすことを報告してきた。また、肺動脈性肺高血圧症は予後の悪い疾患である。その発症機序を明らかにするために、マウス低酸素暴露による肺高血圧症モデルを用い、IL-18の関与を検討した。IL-18ノックアウトマウスでは、肺高血圧の発症が抑制されることを明らかとした。その機序はIL-18による血管平滑筋のNF-kBを介した増殖であることも明らかとした。
    また、IL-18が敗血症性心筋症の病態増悪因子であることも明らかとした。IL-18とLPS、カルシウムサイクリングとの相互作用が病態形成に関与すること主眼として、研究を進めている。
    今後、IL-18の心不全治療薬としての可能性を探る研究、IL-18の働きを抗体で抑制することにより、肺高血圧の抑制の可能性を探る研究を継続していく。
  2. 急性非代償性心不全急性期治療における至適ループ利尿薬投与法の開発:
    高齢化社会の中で、心不全の有病率は上昇し続けている。急性非代償性心不全の急性期治療で、様々な薬剤が血行動態を改善させると報告されてきたが、近年の無作為ランダム化試験で、その予後に対する効果は否定されている。我々はこれまでに、高張食塩水とともにループ利尿薬を投与すると、ループ利尿薬の利用薬効率が上昇することを明らかにした。この療法が、全国に広がるように、本邦で急性非代償性心不全の急性期治療で70%の患者に使用されるカルペリチドと比較し、利尿効果、臓器保護、入院医療費において非劣性を証明する多施設ランダム化試験を実施中である。その結果、本療法の普及を目指す。動物実験としては、トルバプタンの至適投与法の検討を行っている。トルバプタンを単独でマウス心筋梗塞心不全に投与すると死亡率が増加した。ところがトルバプタンとフロセミドを併用するとその死亡率の増加が抑制された。その機序にトルバプタンによるレニン-アンジオテンシン系の活性化、アクアポリン1の発現亢進を明らかとした。
  3. 循環器疾患における鉄の役割に関する研究:
    当研究室では、これまでに動物実験や分子生物学的手法を用いて、高血圧症や慢性腎臓病の病態形成にトランスフェリン受容体を介した鉄取り込みが関与していることを明らかにしてきた。酸化ストレスに関わる鉄はその他にも多くの病態に関係していると考えられる。今後は、動脈硬化症などの血管病変におけるトランスフェリン受容体および鉄の関与について検討していく。
  4. 心房細動による左心房形態変化の研究:
    心房細動が左心房の拡大をおこし、さらにその左心房拡大が心房細動の基盤になっている事が示されている。我々はMDCTやMRIを用いて左心房の形態を三次元的に構築し心房細動は左心耳付着部において特異的な左心房形態変化が起こる事を明らかにした。今後、左房壁の炎症や壁の線維化など、どのような因子が心房細動の発症に関与しているかを明らかにしていく。
  5. 血管内画像検査法を用いた研究:
    冠動脈・末梢血管(頸動脈・下肢血管)において血管内超音波法(IVUS)、光干渉断層法(OCT/OFDI)、血管内視鏡検査など各種血管内画像診断法の臨床研究に加え、剖検例を対象として病理学講座と共同で摘出心のex-vivoで血管内画像診断法を行い、病理所見と比較する研究を行っている。具体的には冠動脈・末梢動脈における炎症細胞浸潤とコレステロール沈着、新生血管増生やプラーク内出血、表在性あるいは深部の石灰化など動脈硬化のさまざまな病期における血管内内画像診断法の所見と病理像の対比を通して、動脈硬化の進展過程の解明に取り組んでいる。また、冠インターベンション慢性期再検査時に3枝にOFDIを行い、動脈硬化の経過を観察する研究も継続している。
    インターベンション治療で広く用いられているステントでは、従来型のステントにおける再狭窄が薬物溶出性ステントの登場により激減した反面、neoatherosclerosisやステント血栓症などの問題が指摘されている。このステント治療に対する冠動脈の反応を血管内画像診断法と病理から総合的に解析している。さらに血管内視鏡によるステントの観察に関する多施設共同研究(MICASA研究)を主導し、継続している。
    さらに下肢の閉塞性動脈硬化症に対するインターベンションについては、新しいデバイスの有用性を血管内画像診断法を用いて検証し報告している。
  6. 冠動脈・末梢動脈循環の病態生理に関する研究:
    冠微小循環に関しては急性心筋梗塞に対する再灌流療法後の冠微小循環の指標として、圧温度センサー付きワイヤーを用いたIMRが有用であることを報告してきた。このIMRと入院時高血糖の関係など再灌流後の冠微小循環障害の病態生理に関して検討を進めている。また近年、冠インターベンションの適応判断における狭窄病変の生理的な評価法としてFFRが用いられているが、左前下行枝と右冠動脈における近位側と遠位側のFFR値の変化の違いなどの基礎的な課題から、慢性冠動脈閉塞に対する冠インターベンションが対側血管のFFR値に及ぼす影響など、臨床におけるFFRの病態生理について検討している。
    心外膜側冠動脈に関しては、アセチルコリンによる血管内皮機能の評価法を用いて、薬物溶出性ステント留置後の血管内皮機能や、冠攣縮性狭心症における冠動脈弾性に関する研究を進めている。
    下肢動脈に関しては閉塞性動脈硬化症患者を対象として、圧温度センサー付きワイヤーを用いた血管予備能(VFR)による膝下動脈の血行再建術後の重症虚血肢の創傷治癒の予測に有用であることを報告し、それを用いて運動療法による血流の改善効果について検討している。また腸骨動脈閉塞が反射波により中心動脈血圧を上昇させることを示し、EVTにより閉塞を解除することが中心動脈血圧の低下を介して心保護効果を発揮する可能性についても研究を進めている。
  7. 急性心筋梗塞の多施設共同研究:
    急性心筋梗塞では、高感度・特異的な心筋トロポニンの開発に呼応して新しい国際定義(universal definition)が提唱されたが、本邦の臨床現場では急性冠症候群の診断と治療に混乱を生じている。新国際基準が本邦に普及しない理由の一つとして、本邦における国際定義に基づく急性冠症候群の予後に関するデータの不在が指摘され、それを明らかにすることは今後の急性心身梗塞診療の国際比較のためにも不可欠である。そこで全国でuniversal definitionにより診断された急性心筋梗塞を前向き登録するJ-MINUET研究を主導し、その概要を報告した。現在、詳細なサブ解析に加え、長期予後の追跡調査を進めている。
  8. 心臓リハビリテーションと非侵襲的画像診断法に関する研究:
    入院から外来診療に至る継続的包括的な医療を実現するため、心臓リハビリテーションについては急性期介入を特徴とする多職種による疾患の再発予防・社会復帰の指導を行い、メディカルスタッフも積極的に研究に取り組み国内外に情報発信を行っている。また主に外来で行われる各種の非侵襲的画像診断法(MSCT・MRI・心筋シンチグラフィ)を組み合わせ、より臨床に貢献する画像処理ソフトウエアの開発に取り組んでいる。また心筋のみでなく下肢筋肉の血流分布を評価すべく画像処理研究を進めている。


自己評価・点検及び将来の展望
平成28年度は、分子学的手法を用いた基礎研究にて、高血圧症や心不全の病態を解明することができた。特に、本学で発見されたサイトカインであるインターロイキン-18(IL-18)と循環器疾患の関連については、IL-18ノックアウトマウスを用いた研究にて解明することができた。また、循環器疾患における鉄の関与についても基礎研究を行い、これらの研究結果を海外の一流学会で発表し、英文雑誌に論文発表することができた。
臨床研究においては、心不全に対する至適ループ利尿薬投与法の開発を目指した研究、心房細動による左心房形態変化の解析、画像診断法による心筋・動脈硬化粥腫の組織性状解析などを行い、その成果を海外の一流学会で発表し、英文雑誌に論文発表した。
今後も、心不全に対する至適ループ利尿薬投与法の開発を目指した多施設臨床研究の結果発表などの臨床研究はもちろんのこと、臨床応用を目指した基礎研究を継続し、世界へ情報発信できるよう努めていく。

増山 理 主任教授
増山 理 主任教授
責任者| 増山 理(主任教授)
専門分野:循環器病学
准教授| 朝倉 正紀
講師| 内藤 由朗
正木 充
赤堀 宏州
奥原 祥貴
TEL| 0798-45-6553
FAX| 0798-45-6551

兵庫医科大学 〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1番1号 TEL:0798-45-6111 (代)

Copyright(c) Hyogo College Of Medicine.All Rights Reserved.