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兵庫医科大学医学会

動物実験施設

講座(部署)紹介

動物実験施設は1974年に開設され、兵庫医科大学における動物実験の中心的役割を果たしてきた。最先端医学研究において必須である遺伝子改変動物の飼養保管はP1A、P2Aが行われており、マウス胚・精子の凍結保存および移植業務等の研究支援も行っている。

2006年6月1日に改正動物愛護管理法等が施行され、条文中に3Rが明記された。この日を境に我が国における動物実験は倫理的に大きな転換期を迎えた。2007年には、基本指針に基づく新たな動物実験規程、動物実験計画書等の関連様式を作成し、2009年には基本指針で義務づけられている動物実験の実施に関する自己点検・評価報告書を公表した。さらに、全国の大学に先駆けて「動物実験の実施体制に関する外部検証」を受け、その検証結果報告書を公表した。また、2016年には、これも全国の大学に先駆けて、2回目の外部検証を受審した。この事により2006年に迎えた動物実験の大きな転換期に本施設はいち早く対応し、倫理的動物実験を実践するパイオニアとして、全国的に高い評価を受けている。

現在、新教育研究棟へ移設する準備を進めている。10年後、20年後の最先端医学研究にも対応できるように、さらに加速すると予測される倫理的動物実験の実施が可能なように、日夜、教職員一丸となり、熱い議論を続けている。

研究の現状

概要

動物愛護管理法をはじめとする実験動物関連法改正に伴う意識調査、実験動物アレルギーに関するアンケート調査、実験動物アレルギー対策マニュアルの作成を行ってきた。また、遺伝子組換え動物の評価、実験動物配偶子の簡易輸送法の確立に関する研究、発生工学の手法による稀少なミュータントや遺伝子改変動物の系統維持、および微生物学的クリーニング等を実施した。さらに日常業務や現場作業に即した研究を行った。



主題
  1. 実験動物関連法令改正に伴う意識調査:
    動物愛護管理法、実験動物飼養保管基準、動物実験等実施に関する基本指針等の施行や告示に伴い、我が国における動物実験は大きく変化を遂げた。この大きな改革により、動物実験がどのように変わり、動物実験を行う者、実験動物を管理する者の意識がどうのように変わったのかを、全国規模のアンケート調査により解析を行い、その結果を報告した。
  2. 実験動物アレルギー実態に関する調査:
    実験動物アレルギーは急性のアレルギー性疾患で、重篤な場合ではアナフィラキシーを起こす例もある。しかし、この実験動物アレルギーに関する各施設での実態調査はほとんどされておらず、この実態の把握に有効な全国規模のアンケート調査は、ここ20年近く行われていなかった。そこで、全国の各動物施設の実験動物アレルギーの現状を知るべくアンケート調査を行い、その結果を報告した。
  3. 実験動物アレルギー対策マニュアルの作成:
    主題2の調査より実験動物アレルギー対策マニュアルの作成が必要と判断され、日本実験動物学会の中に動物アレルギー検討ワーキンググループが立ち上がり、その中でマニュアルの作成を行うと同時に、関連学協会で積極的に実験動物アレルギーに関する講演や総説の投稿を行い、実験動物アレルギーの危機性を周知した。
  4. 遺伝子組換えにより作製した実験動物の評価:
    マウスにヒト家族性認知症の一つFTDPと同様のタウ遺伝子の異常を導入することで、能動的回避学習能、水迷路学習能の異常を示すマウス(SJLB)を作製した。本研究ではSJLBのプロテインプロファイリングをもとに高次脳機能異常を引き起こす原因分子の探索を行うと共に、SJLBを用いた認知症治療薬、効能評価への応用可能性について検討した。
  5. 実験動物の配偶子の国内簡易輸送法の確立に関する研究:
    胚に比べて1個体から非常に多くの配偶子を得られる精子の有用性を利用するため、液体窒素を使用せず、しかも運動性を残す精子の輸送方法の開発は実験動物技術の普及にとって非常に有益である。そこで、マウス精子を、他施設に輸送後体外受精に供することができるように、運動能を保持したまま簡便な低温環境(-80℃~4℃)で輸送する条件を確立するための検討を行った。
  6. 発生工学の手法に基づく稀少なミュータントや遺伝子改変動物の系統維持、および微生物学的クリーニング等:
    学内研究支援の一環として、各研究室で使われている稀少なミュータントや遺伝子改変動物の遺伝資源の保存を実施した。微生物学的クリーニングは、汚染が明らかになった場合速やかに配偶子を採取、体外受精・胚移植を実施し、その動物のレベルにあった環境で産仔を作成した。
  7. 日常業務や現場作業に即した研究:
    ウサギの水洗式飼育ラックにおいて、水洗板表面を水ガラスによりコーティングし、尿石の付着防止を試みた。次に、ウサギ用の簡易型自動給餌器を開発し休日における飼育管理作業の効率化を目指した。また、動物実験等実施に関する基本指針に基づく、動物実験に関する教育訓練、飼養保管施設の改善整備等に関して報告を行った。 さらに、動物実験施設における危機管理マニュアルの作成を試みた。


自己評価・評価及び将来の展望

近年は、研究者が安心して、安全に動物実験を実施する環境作りを中心に取り組み、 その結果、規程や関連様式の制定、飼養保管施設、動物実験室の整備、教育訓練の実施、凍結保存業務の充実等はほぼ達成できた。さらに今後も、動物実験関連法令の解析や動物福祉に関する研究、また、適正な動物実験の実施に必要不可欠な外部検証を行う調査員の育成に関して、中心的な役割を担っていきたい。実験動物アレルギー対策を進め、研究者が安全に、且つ安心して動物実験に取り組める環境を構築していきたい。

現在、卵巣の凍結保存と卵子細胞質内精子注入法を検討している。この方法は、遺伝資源の確実な保存を担保するためのオプションとしても有用である。今後、発生工学手法を用いた研究と実験動物アレルギーに関する研究等とあわせて研究支援施設としての役割を果たすと共に、大学という研究機関の一員として見合った成果を上げていきたい。


准教授 佐加良 英治
講師 赤谷 昭子



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