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潰瘍性大腸炎に対する外科治療では,潰瘍性大腸炎の患者さん自体が炎症に弱いこと,ステロイド治療や免疫抑制剤による治療を長く受けていた影響から,一般の手術と違い,多くの合併症を起こす可能性があることはお解りいただけたかと存じます。これを踏まえ,次に当科における手術成績を述べます。
1)大腸がなくなったらどうなるか?
大腸の機能は一口でいえば水分の吸収と糞便の形成、貯留と排出です。一日の消化管分泌液は7ャに達しますが、その90%が小腸で吸収され、大腸で吸収される分は残りにすぎません。このため、大腸がなくても生命に支障は全くありません。ただ、永久的な人工肛門の場合は液状の便が出ることになりますが、私どもが行っている回腸肛門吻合術では、肛門の括約筋により便の漏出を防ぎ、回腸の袋をつくることにより便をためる機能を持たせ、この部分の小腸が大腸の代わりをするようになります。これによって肛門から排便のあるふつうの日常生活が可能となります。
2)術後成績(日常生活はどうなるのか?)
術後1年における排便機能について
@1日排便回数は?
最低1回/日、最高10〜15回/日であり平均5-6回/日です。その人の生活サイクルにあった回数になっていくようです。
A漏便は?
80%の人は、ごく少量の粘液の漏れのある人も含,日常生活には問題ないとのことです。10%の人は、睡眠中に漏れるので,padをあてているとのことです。10%の人が漏便があって困るといわれます。そのうち8人の人が,不成功,すなわち永久人工肛門となりました。
大腸がないことのhandicapは何か?
@脱水に弱い
ふつう,大腸を持っている人は、下痢をしても2,3日は大丈夫ですが、回肛吻合術を受けた方は、1日下痢をしただけで倦怠感が生じます。通常の生活で問題はありませんがこのように予備力がないことが大腸がないことによるhandicapと考えます。
出産について
今までに9人(7.6%)の出産がありました。当科の患者さんは全員帝王切開でした。海外の報告でも自然分娩より帝王切開が多くなっています。
3)不成功
当科での自然肛門温存を目的とした分割手術計画を行った方で、最終的に永久人工肛門になってしまった方を不成功としています。残念ながら今までに8人(2.7%)の方が不成功となりました。人工肛門となった原因は感染性の病変によるもので、痔瘻であったり、吻合部の膿瘍であったり、回腸嚢炎でした。しかしこのデータを示すことは,いたずらに患者さんの不安をあおるためではありません。心に留めておいて頂きたいのは、これらの合併症が起こってもすぐに人工肛門となるのではなく、異常があれば早く来院していただきたいということです。そうすることで様々な治療が可能となり、人工肛門を回避する手だてを講じることができます。
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