IAAとIACAのシェーマを下に示します。

IAA

IACA

 IAAは肛門管内の粘膜を完全に切除し、J-pouchと歯状線を手縫い吻合する術式です。対してIACAは腹腔側から、できるだけ肛門側まで直腸を遊離しJ-pouchと肛門管とを器械で吻合(ダブル・ステイプリング・テクニック)する術式です。

 IAAとIACAの特徴を下表に示します。

IAA

IACA
UCの再発

(-)

残存直腸粘膜に(+)
癌のリスク

(-)

残存直腸粘膜に(+)
吻合部

歯状線

肛門管
吻合方法

手縫い吻合

機械吻合
一時的な人工肛門の必要性

今までは必要

原則的に不要

 IAAは粘膜を完全に切除するためUCの再燃や直腸癌のriskが無くなる反面、手術操作に習熟を要することと、手技的に内括約筋に影響が一部及ぶため、術後の括約筋機能が回復するまで、空置的回腸人工肛門造設術が必要であるという問題点が存在していました。一方IACAは、J-pouchと肛門管との吻合が不十分な場合に、空置的回腸人工肛門の造設が必要ですが、原則的には1期的に行うことができる術式です。
 残存直腸からの発癌の報告はあるものの、double stapling法の進歩により直腸後壁では歯状線で、前壁でも、歯状線から約2cm口側での吻合が可能となっています。脊椎圧迫骨折のために人工肛門を造設することができない患者さん、人工肛門を受け入れることができない患者さん、高齢や以前の痔瘻手術による括約筋機能低下が疑われる患者さんに対してはIAAよりも、よい適応があると考えています。しかし、多発性の異型性が大腸に存在するような患者さんにはIAAを第一と選択とすべきと考えています。