嚥下プロジェクト

嚥下プロジェクトでは、本学の知財(特許5353479号、PCT/JP2014/062239、特許4546472号)を基に、人口の高齢化に伴い急増している嚥下障害や誤嚥性肺炎の診断・予防・治療へ展開するトランスレーショナルリサーチを行うことによって、社会の福祉へ貢献します。

プロジェクト内容

  1. 嚥下モニタリングシステムの開発
    肺炎は日本人の死亡原因の第3位であり、その多くは高齢者の食事中や夜間の不顕性誤嚥による誤嚥性肺炎と考えられていますが、食事中や夜間の嚥下状態をモニターし、誤嚥リスクを診断する装置は市販されていません。そこで誤嚥リスクを早期発見する嚥下機能評価装置(特許5353479号、PCT/JP2014/062239、Respirology 2016、MBEC2016)を開発し、実用化を目指しています。平成26年度より、京都大学先端医療機器開発臨床研究センターに拠点を置いて多施設大規模臨床試験を開始しています。本プロジェクトは、兵庫医科大学、京都大学、ユーセンスメディカル(株)(大学発ベンチャー企業)、(株)ジェイクラフトと、多くの協力医療機関による産学連携プロジェクトです。

        本研究に関する情報公開文 

  1. 嚥下障害治療器の開発
    誤嚥性肺炎患者は嚥下誘発閾値が上昇しているので、嚥下閾値を低下させることは有効な予防法となる可能性があります。我々は、頚部の干渉波電気刺激が健常者において嚥下を促進させることを見出し(Dysphagia 2011)、特許化しました(特許4546472号)。さらに、頚部干渉波電気刺激が嚥下障害患者において嚥下反射時間を短縮させることも見出しました。これらの知見を基に、嚥下障害治療器を開発し、実用化を目指すトランスレーショナルリサーチを行っています。

自己評価・点検及び将来の展望

嚥下障害治療器に関しては、2015年7月28日に「干渉波型低周波治療器」として医療機器認証(227AHBZX00026000)を受け、医療機器として使用可能となりました。現在、複数の臨床研究が進行中で、エビデンスを確立した後は、「嚥下障害治療器」としてPMDAの承認を目指します。嚥下モニタリングシステムに関しても、知財と薬事の専門コンサルタントにアドバイスを受けながら、最終的には新カテゴリーでの医療機器承認を目指します。