小児科Q&A
項目をクリックしてください
特別招聘教授
服部 益治はっとり ますじ
お子様が心身ともに健やかに育つために、日頃からの習慣と予防対策が重要です。
1.「三つ子の魂百まで」 3歳までに次の習慣を!
早起き、そして朝食をきっちりと。
世界が認める健康食「和食」を忘れずに。
テレビ・ビデオ・ゲームなどの視聴時間を1日2時間まで。
我々も「No TV day , No Game day」をしませんか?
2. 子供の命を守る手だてがあるのに忘れていませんか?!
世界で最もおろそかにされているのが日本です。それが、予防接種(生後3ヶ月から)とチャイルドシート(乳幼児は後ろ向き)
チャイルドシートについて
夜尿症について
救急症状について
子供の救急症状
心配な症状とその見方は?
病気がひどくなるとこどもの機嫌は悪くなります。逆に機嫌がよければあまり心配ありません。
それでは、機嫌が悪くなるとどのような症状となるかあげてみましょう。
病気の重症度判定の参考にしてください。
・生後1か月未満の新生児ではどんな症状も注意する。
・顔つきが病的(ぐったり)で機嫌が悪く、笑うこともなく反応が鈍い。
・遊ぼうとしない。
・立つことができない。
・3時間以上ずーっと泣き続けている。
・優しくさわったり抱いたりしても泣き続ける。
・甲高い泣き声や弱々しい泣き声やうめき声をあげる。
・寝付きがわるくすぐ目がさめる。ボーとしていて完全に起きていない。
・呼吸が苦しそうに見える。
・唇や口の周りが青白くなっている。
・皮膚の色がわるく蒼白~灰色がかって見える。
遊ぼうとしない
激しい痛み
歩けない
腹痛
睾丸、陰嚢痛、鼡径部(両足のつけ根の部分)の突然の痛み
息苦しい
唇が青みがかっている
息が苦しいとき(喘息発作など)
救急薬の使いすぎに注意
喘息の危険なサインは?
・吸入薬が全く効かないか、または効果があっても2~3時間以内に又、苦しくなる。
・呼吸が吸入後も早くてきつい。
・息を吸うのが苦しい。
・顔色や爪の色が白っぽかったり、青~紫色になる。
・息を吸うときに、小鼻が開く。
・息を吸うときに、肋骨の間や胸骨の上が陥没したり、頸部周辺の皮膚に陥没がみられる。
・脈拍が非常に速い。
・歩けない。
・横になれない。
・意識がはっきりしない。ボーとしている。
・興奮する、暴れる。
インフルエンザについて
インフルエンザって?
普通のかぜとインフルエンザは症状に多少の類似性があるものの疾病としては全く違うものです。
普通のかぜはライノウイルスやコロナウイルス等の感染によって起こります。症状としては、のどが痛む、鼻がむずむずする、水のような鼻汁が出る、くしゃみや咳が出るなどが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。
一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスによるもので、38~39度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強く、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。さらに、気管支炎、肺炎などを併発し、重症化することがあるのもインフルエンザの特徴です。また、インフルエンザは、基本的に流行性疾患であり、一旦流行が始まると、短期間に乳幼児から高齢者まで膨大な数の人を巻き込むという点でも普通のかぜとは異なります。
インフルエンザにかからないためには?
予防の基本は、流行前にワクチン接種を受けることで、これは欧米では一般的な方法になりつつあります。わが国でも年々わずかながらワクチンを受ける方の割合が増えてきています。また、インフルエンザにかかった場合に重症化する可能性の高い人は特に、ワクチンの接種は重症化防止の方法としても有効です。インフルエンザは、インフルエンザにかかった人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫と共に放出されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することによって感染します(飛沫感染)。インフルエンザが流行してきたら、人混みは避けましょう。特に高齢者や慢性疾患を持っている人や、疲れていたり、睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。
空気が乾燥すると、咽頭粘膜の防御機能が低下して、インフルエンザにかかりやすくなります。外出時にはマスクを利用したり、室内では加湿器などを使って適度な湿度(50~60%)を保ちましょう。常日ごろからバランスよく栄養をとることも大切です。帰宅時のうがい、手洗いは、かぜの予防と併せておすすめします。また、インフルエンザにかかって、咳などの症状のある方は特に、周りの方へうつさないために、マスクの着用が勧められます。
ワクチンは何歳からできるの?何回接種するの?
インフルエンザの予防接種は6ヶ月以上の方なら接種可能です。
接種回数ですが薬事法上は1回又はおよそ1~4週間の間隔をおいて2回注射するとあります。65歳以上の高齢者に対しては1回の接種でも十分効果があるとする研究結果が得られており1回接種でよいと考えられます。
13歳以上64歳以下の方でも、近年確実にインフルエンザに罹患していたり、昨年インフルエンザの予防接種を受けている方は、1回接種でも追加免疫による十分な効果が得られる方もあると考えられます。接種回数が1回か2回かの最終的判断は、接種する医師の判断によりますので、接種の際にはこれまでのインフルエンザにかかったことのあるなし、ワクチン接種のあるなしとその時期、そして現在の体調などを担当医師に十分伝え、相 談して下さい。
インフルエンザにかかっちゃった!!
どの病気でも共通して言えることですが、早めに治療し、体を休めることは、自分のからだを守るだけでなく、他の人にインフルエンザをうつさないという意味でも大変重要なことです。一般的には以下のような点に注意しましょう。
・ 単なるかぜだと軽く考えずに、早めに医療機関を受診して治療を受けましょう。
・ 安静にして、休養をとりましょう。特に睡眠を十分にとることが大切です。
・ 水分を十分に補給しましょう。お茶、ジュース、スープなど飲みたいもので結構です。
なお、いわゆる「かぜ薬」と言われるものは、発熱や鼻汁、鼻づまりなどの症状をやわらげることはできますが、インフルエンザウイルスや細菌に直接効くものではありません。
熱冷まし(解熱剤)は使っていいの?
以前ニュースなどで話題になりましたね。解熱剤には多くの種類があります。その中で、インフルエンザに罹っているときには使用を避けなければならないものがあります。代表的なものが、アスピリンなどのサリチル酸解熱鎮痛薬、ボルタレンなどのジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸です。
別の人に処方された薬はもちろん、当人であっても別の受診時に処方されて使い残したものを使用することは避けるべきですし、市販の解熱鎮痛薬の一部にはアスピリンなどのサリチル酸系の解熱鎮痛成分を含んだものもありますので、自己判断せず、使用時にはかかりつけの医師によく相談してください。
学校や職場に行ってもいいの?
一般的にインフルエンザウイルスに感染して、症状がでてから3~5日間にウイルスを排出すると言われています。健康な成人では、インフルエンザは通常2~3日で熱が下がりますので、熱が下がっても一両日はうつす可能性が残ることになります。この期間には他の 人へうつす可能性が高いので、人の多く集まるところは避けた方が良いでしょう。学校や職場に行く場合はマスクをするなど、周囲の人へうつさないように配慮してください。インフルエンザ薬の内服によってこの期間は、1~2日間短縮されます。
学校保健法では、「解熱した後2日を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としておりますが、「ただし、病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めたときは、この限りではない」となっており、医師の裁量が認められております。また、職場復帰の目安については決まったものがありません。
インフルエンザ罹患後には体力等の低下もありますので、以上のような点を考慮の上、いずれの場合も無理をせず、十分に体力が回復してから復帰するのがよいと考えられます。
嘔吐について
嘔吐がきついです。どうしよう・・・
嘔吐のある最初は2~4時間くらい絶食にしてもよいです。最初のころは胃を満タンにすると吐いてしまいますので、嘔吐が少し落ち着くまで、胃を空にしてスプーンなどで少しづつ水分補給をします。
水分の補給は乳児では15cc、1才以上では30ccくらいを目安に嘔吐が起こらないように注意しながら、20分おきくらいに1、2時間与えます。本人が飲みたがらなければ無理に飲ませなくても良いです。嘔吐がなければ10~20ccずつ増量し、6~12時間後くらいから流動食、白湯やお粥、スープなどを与えます。
嘔吐がほぼおさまった後は、少しずつ年令に応じて消化のよいものを1~3日間位与えて普通食にします。嘔吐があれば少し間をあけてからもう一度同じように与えて下さい。
嘔吐をくり返して元気がなくてぐったりしている場合、腹痛が強い場合、あるいは便に粘液や血便が混じっている場合の嘔吐はなるべく早くかかりつけ医に受診すべきです。急性胃腸炎や急性下痢症のほかに、少ないですが腸重積症などがあります。その他、髄膜炎(高熱、嘔吐、頭痛、不機嫌)、頭蓋内出血や脳腫瘍(頑固なおう吐と頭痛、意識障害、神経麻痺など)などがあります。
すぐに診断はできないかもしれませんが、いずれにせよ嘔吐が頑固に繰り返し、腹痛や元気なくぐったりしていれば急いでかかりつけ医や救急病院に相談されるとよいでしょう。
嘔吐しました。比較的元気なんですが・・・
こどもの中でいちばんかかりやすい嘔吐です。先に述べた救急症状はなく、 嘔吐の直後に少し顔色がわるくなったり、多少ぐったりしますがしばらくすると機嫌は元にもどるような嘔吐です。
ウイルス性胃腸炎、冬期乳幼児嘔吐下痢症、感冒性嘔吐下痢症などと言われる病気は睡眠中に突然嘔吐がみられたりして家族の方はびっくりされますが、頑固でなければ心配ありません。 翌朝にでもかかりつけ医に相談しましょう。
真夜中に咳こんで嘔吐する場合もあわてずに、翌朝、かかりつけ医に相談しましょう。
応急的な処置はとりあえず、真夜中はなにも与えずにお腹を休ませているだけにします。朝になるとよくなっていることもありますが、よくなっていてもかかりつけ医に相談されるとよいでしょう。
あわてる必要のない嘔吐のひとつに、3ヵ月頃までの乳児が乳をのんだあとすぐ乳が空気と一緒にゲボッと口から出る場合は溢乳(いつ乳)といって, 心配はありません。哺乳後に空気をはかせる(ゲップ)ために、乳児の頚を支え、上体を高くしてまっすぐに抱き、あごをやや上方に持ちあげて横に向かせ、背部を下から上にさするか、または軽くたたいて排気させます。また乳幼児が元気に遊んでいていきなりゲブッと吐き、吐いた後ケロッとして嘔吐のない場合も,心配はありません。特に年長幼児が走った後に咳こんで吐く、気持ちの悪いものを見聞きした時吐くのは神経質となっており、吐くことによる甘えもあるのでお母さんはさわがないでほしいものです。
下痢について
早く受診したほうがいい下痢の症状は?
口唇や舌がかわいてカサカサになっている。目が落ちくぼんで元気・生気がない。
下痢の回数は少なくても笑わない、 ほとんど水分を飲まない、顔色が蒼白でぐったりしている。
膿や粘液のまじった下痢、血便の下痢がある 。
嘔吐が頻発する。コーヒーかす様の嘔吐を伴う下痢。
お腹の緊張がなく、 綿をつかむような感じのおなかをしている下痢。
よくみられる下痢・あまり心配のない下痢の症状は?
機嫌がよい、 食欲もある、体重も減少しないが下痢が1日2~3回位のときはあまり心配のない場合で、食物も神経質に制限する必要はありません。
発熱や嘔吐をともなうが全身状態や機嫌の良い場合の下痢は、多くは風邪などの消化管以外の感染のための下痢が主で心配はありません。かかりつけ医に相談しましょう。
冬期にはロタウイルス性腸炎の流行がみられます。
家庭での手当てはどうしたらいい?
程度によっては食事内容の制限が必要です。
水分の補給を十分にするためお茶、イオン飲料などを与えましょう。
おしりがただれやすくなるのでシャワーなどをしてあげてください。
手洗い、便のしまつに注意しましょう。
下痢のときの食事は?
離乳食は1段階、もとにもどします。
食事ではお粥、煮込みうどんなどの炭水化物を中心に白身魚、リンゴなどを与えます。
避けたいものは油の多いもの、刺激の強いもの、牛乳、柑きつ類などです。
ひきつけ(けいれん)について
まず落ちついて! 子供の様子の観察が大事!!
心配のない、あわてなくてよいひきつけは?
乳幼児で、普段から特別なことがなくて、熱の出始めに(38℃くらいに上がってきたとき)突然けいれんをおこし、ほとんどが5分以内にけいれんがとまり、ひきつづきけいれんがみられない場合はもっとも頻度の多い熱性けいれんが考えられます。そのようなけいれんはいそいで受診する必要はあまりありません。時間外であれば、少し様子を見て、なにもなければ昼間、かかりつけ医にみてもらいましょう。けいれんの時間は数分以内でとまります。15分以上けいれんが続くようであれば、いつでも病院に受診しましょう。
6歳頃を過ぎて発熱と同時にけいれんがみられるようであれば、熱性けいれん以外にいろいろな病気があり慎重な診断を受けるべきです。いずれにしても、症状が落ち着いてからかかりつけ医に相談してください。
心配なけいれんは?
熱性けいれん以外に、脳炎、脳症などの感染症や脳腫瘍、脳出血など中枢神経系の病気や全身性の代謝性疾患などでもけいれんがみられます。頑固なけいれん、意識障害、顔面蒼白、呼吸が苦しそうなどけいれん以外のいろいろな症状を伴います。
けいれんが30分以上持続して続いたり、短いけいれんが何度も起こり、けいれんのない時でも意識がさめないような状態が長く続くような場合は、けいれん重積状態といい、できるだけ早くけいれんが止まるように充分な治療とけいれんの原因を調べる必要があります。
このような場合は生命や後遺症の危険もあります。また、最初、単純な熱性けいれんと思われていたものが、数時間で上に述べたようにけいれん重積状態に移行することもあります。
急病と咳・喘鳴について
出来るだけ早く受診したほうがいい症状は?
・水分を飲め込めなくなり、よだれが多くなる。
・息を吸うときに、胸がへこむ呼吸(陥没呼吸)をする。
・全身状態がぐったりしている。
・寝ること、横になることが出来ず、起きあがって口を開けてあえぐような呼吸をする。
少し注意するような咳は?
喘息などのゼーゼーを伴う咳は息が苦しくなるようでしたらかかりつけ医に受診するか、自宅で決められた吸入をしましょう。
喘息で呼吸困難があるようでしたら、早めにかかりつけ医か救急病院に受診しましょう。
乳児で百日咳にかかると、激しい咳が夜間に多くでたり、けいれん性の咳の発作(コンコンコンコンコンコン…と息継ぎから咳が続く状態)が見られることがあります。咳で呼吸がとまるような激しい咳があれば早めに受診しましょう。
あわてる必要のない咳は?
かぜなどで熱や咳があっても本人の機嫌がよい場合や、軽い喘息発作で咳が出てもこどもが元気で全身状態のよい場合はあまり神経質に咳をとめることに熱中しない方がよいでしょう。
気になるようならば、昼間かかりつけ医に相談しましょう。
頭部外傷・頭部打撲について
どのようなとき病院を受診した方がいいのですか?
小児は頭部の大きさと身長の比が大きく(新生児1/4、2歳児1/5、6歳児1/6)、情況判断の悪さなどと相まって、転倒して頭部を打撲する機会は大人よりはるかに多い。その場合に受診する方がいいのか、待機してもいいのかは次のようなことで判断材料とします。
1.打撲後にすぐ泣くこともなく、ぐったりしてしまったとき。
2.打撲後にひきつけを起こしたとき。
3.複数回の嘔吐がある。
4.手足の動きに左右差がある。スムースに歩けない。話の内容がおかしいなど。
5.打撲部でなく頭部全体を痛がる。
逆にそれだけではすぐに受診する必要なく様子観察可能なものとしては
1.一回嘔吐した。
2.頭皮から出血していない(閉鎖性頭部外傷)ので、逆に脳の中に出血していないか心配。
3.とにかく一回診てもらっておけば安心だ。
頭を打ちましたが、その後はいつまで様子を観察が必要でしょうか?
厳密には72時間(3日間)の観察が必要です。頭部外傷直後の診察にて、神経学的検査・頭蓋 単純X線・頭部CTで異常がなくても受傷最初の夜は、深夜に必ず起こすことも必要です。これは遅発性に生じてくる頭蓋内出血・脳浮腫による意識障害の有無を確認するためです。
最後に、受診の有無にかかわらず、様子観察をする際に気をつけなければならない症状をまとめてみました。このような症状があれば受診してください。
1.起こしてもすぐに眠ってしまう。起きていられない。
2.気持ちが悪い。何度もはいてしまう。
3.けいれん(ひきつけ)をおこす。
4.ものが見えにくくなる(二重に見える、焦点が合わない、など)。
5.片方の手足が動きにくくなったり、しびれたりする。
6.歩き方がおかしい(つまずく、よろける)。
7.話すことが混乱している。性格が変わる(普段とは異なる振る舞いをする)。
8.普段と違い、落ち着きがない。
9.非常に遅い脈拍、または速い脈拍。
10.ふらつき。
泣く・泣きやまないについて
心配な泣き方は?
甲高い泣き声で泣き続けたり、弱々しい泣き声、うめき声など異常な泣き方をするときは腹痛をともなう病気の可能性もあります。また逆にあやしても笑わない、寝てばかりいる、呼んでもふりむきもしないといった不自然な状態がつづくときは、異常に泣く時と同じように心配ですので受診の必要があります。
心配のない泣き方は?
乳児、と くに6ヶ月までの赤ちゃんが、 夜間泣きやまないからといって受診する前に、もう一度よく赤ちゃんをみましょう。
暑い?寒い?ミルクや水分を欲しがってない?おむつかぶれはない?かゆいところはない?昼間のあやしすぎはなかった?よく様子をみましょう。
何か気づいた点はなおしてあげ、しばらく様子をみましょう。真夜中、急に泣いて困らせるケースの大部分はこのような例です。しばらくしたら泣きやむことが多いです。病院に行くためドライブ中にご機嫌がよくなるこどもさんもよくいます。どうしても困る場合は少し気分転換に近所をドライブする、だっこしてお散歩してみるなどの方法もあります。
あまり夜泣きなどで困る場合は昼間、かかりつけ医にご相談されるとよいでしょう。
夏風邪について
まずは安静、症状が強い時に対症療法
ヘルパンギーナとは
ウイルスの感染力が強く、高熱とのどの水疱が特徴です。突然38~40℃の発熱とともに、のどちんこ(口蓋垂)の近くに小さな水疱や口内炎のような潰瘍ができます。のどの痛みが強くつばも飲み込めないほどで、よだれが多くなったり食欲がなくなったりします。3~4日前後で熱が下がり、発症から1週間ほどで回復します。
手足口病とは
感染力が強く、感染しているお友達といるとほとんどの場合うつってしまいます。病名の通り、手のひら、足のうら、膝・肘のうらや口などに米粒大の水疱ができます。口の水疱は破れて潰瘍(口内炎)になり、しみて痛いため食欲が落ち不機嫌になります。腹痛や下痢を伴うこともありますがだいたい発症から1週間で回復します。
咽頭結膜熱(プール熱)とは
プールを介して爆発的に流行することがあり、別名「プール熱」とも言われます。感染力が強いのでタオルや洗面器は別にします。39℃前後の高熱が3~5日間くらい続き、のどの痛みが強く、のどが真っ赤になります。また、目は充血し真っ赤になり目の痛みやまぶしさを訴えます。また、涙や目やにが出ます。腹痛や下痢を伴うこともありますがだいたい発症から1週間で回復します。
熱中症・熱射病について
熱中症について
熱中症にかかってしまったら?
症状が重症のときや1時間以上持続するときは、ただちに119番または地域の休日診療所などに連絡して下さい。患者は熱射病かもしれません。
日陰や涼しい所へ患者を連れて行きます。空調が整った部屋などがよいでしょう。
患者の衣服を緩め、下肢を挙上し横に寝かせます。
前頭部や体に冷たく湿った布を当てます。
意識があり、呼吸困難がないときに限り、薄めた食塩水を飲ませるのもいいでしょう。(1.1リットルあたりティースプーン1杯の食塩)。
熱射病について
熱射病にかかってしまったら?
すぐに119番または地域の休日診療所などに連絡して下さい。連絡が遅れると命取りになりかねません。
患者を冷たい水の張ってあるお風呂に入れます(ただし氷は使いません)。
お風呂に入れることができない場合には、冷たい水を含んだスポンジで体を拭くか、冷たい水を吹きかけて下さい。水分が乾ききらないうちにあおいであげます。
発熱について
上がりはじめ~ピークは?
熱の出始めからピークまでは体がだるい、息が荒い、悪寒するなどの症状があります。子供さんもガタガタ震えたりする時期です。このとき手足を触ってみてください。冷たくなってませんか?このときは無理して体を冷やしたりせず、少し温めるくらいで見てあげてください。
ピーク以降は?
熱が上がりきってピークをむかえると悪寒はおさまり、暑くてたまらない時期になります。機嫌も少し良くなってきてるのではないでしょうか?
このときは冷たかった手足もポカポカ暖かくなってきます。体も汗をかき始め、熱を下げようとします。汗をかきすぎて冷えすぎないよう適度に着替えをさせてください。体を冷やすのもこの時期が効果的です。
40℃を超えた場合は?
子供さんはよく40℃に届くような、又は越えるような発熱をおこすことがあります。特に扁桃炎などではよく見られます。基本的には髄膜炎など悪い病気がなければ障害を起こすようなことはありません。落ち着いて機嫌などを見てあげて、しっかり水分を取らせて休ませてあげて下さい。
解熱剤についておしえてください
先に述べたように発熱は体の基本的な防御反応です。これを無理に下げる必要はないという意見もあります。しかし子供さんがフーフー言ってしんどそうにしているのに、じっと見ているのも辛いですね。
ここでよく見ていただきたいのが子供さんの機嫌です。本来、子供さんは発熱に強いのです。40℃も熱があるのにはしゃいで遊んでいる…なんてことありませんか?逆に38℃ちょっとなのにぐったり…なんてことも。
機嫌がよければ無理して解熱剤を使うことはありません。水分をよく取らせて様子をみてあげてください。逆にぐったりが強いようならゆっくり休めるように熱を下げてあげるのがいいでしょう。
また使用するタイミングによっても下がる温度は異なります。上がりはじめなどは熱の勢いも強く下がりにくいです。
ただし、熱性けいれんを起こしたことがある子供さんの場合は要注意です。熱性けいれんは熱の上がりはじめ、特に発熱から24時間以内に起こしやすいので熱が上がり始めているようなら解熱剤よりも先にけいれん予防の坐薬(ダイアップ坐薬)を使用してもらう必要があります。その後に解熱剤を使用することとなります。詳しくは主治医と相談してください。
解熱剤を使ったのに下がらない!
解熱剤を使ったからすぐに熱が下がるものではありません。熱の勢いが強ければ解熱剤も負けてしまうことがあります。機嫌を見ながら次のことを確認してください。
一旦下がったが再び上がってきたのでは?薬の効果が切れてきたのでは?
解熱剤は4~6時間くらいしか効果がありません。5~6時間以上間隔をあけて1日3回くらいまでの使用はかまいません。
坐薬の場合、入れた坐薬が出てないか?
坐薬は5~10分で溶けてしまいます。またお尻(直腸)に直接入れるので便意をもよおしてすぐにうんちと一緒に出してしまうことがあります。溶けかけのまま出てきたようなら可能な限りそれを再度入れてあげてください。形がないようなら吸収されている可能性があるのでそのまま様子を見てあげてください。
子供さんのお薬は大人のものと違って強力ではありません。1℃も下がればよしとしましょう。
厚着になってないか?冷やすポイントは?
手足が温かいようなら厚着はやめてください。熱がこもって(うつ熱状態)下がりにくくなります。
氷嚢やアイスノンをタオルなどでくるんで脇の下や首、股(太い血管が近くをはしっている部分)を冷やしてあげてください。冷やされた血液で身体の中から冷やします。
ただし寒がる場合はやめてください。またぬるま湯などで浸した手ぬぐいを軽く絞って首や脇の下、胸、背中などを拭いたりしても下がりやすくなります。
発熱の手当はどうしたらいい?
高い熱が出ているときは食欲不振で脱水症状を起こしやすいので、冷たく冷やした果汁、ヨーグルト、牛乳、ミルクなどによって水分、ビタミン、ミネラルをとるようにしましょう。
高い熱が出ると体力の消耗が激しいので、時間外、真夜中の受診はこどもにとって大変な負担となります。発熱が2,3日以内で、熱以外にあまり変わりなければ、少し落ちついてから、朝になってかかりつけ医師の診断を受けるようにしましょう。熱が下がっても安静第一にします。
鼻出血について
鼻血の時、皆さんはどうしますか?
鼻血がでた場合は?
- 座って顎をひき、前屈みになる。
- 親指とひとさし指で鼻をつまみ、両側の鼻孔をしっかりと押さえます。これを10~15分間、力をゆるめないで続けます。
- これでも出血が止まらない場合は、清潔なガーゼの小片を片側または両側の鼻孔に詰め、もう一度親指とひとさし指で外側から10~15分間押さえます。
- 出血が止まったら、冷湿布を鼻および顔面に当てます。
- それでも出血が続いているときは、すぐにかかりつけ医、診療所または救急病院で診てもらって下さい。
やけど・日焼けについて
やけどについて
やけどをしてしまったら?
できるだけ早く冷たい流水で最低10分間は傷の部分を冷やして下さい。
氷やアイスノンなどを患部に当ててはいけません。
手近にある一番清潔な布でやけどをした部分を空気にさらさないようにおおって下さい。
患者を横にし、やけどを負った上肢または下肢は少し高くしておいて下さい。
患者の頭部は体の他の部分より低くし、できれば足は高く上げておいて下さい。
ひどいやけどのときには医師に相談して下さい。水ぶくれを破いたりしないで下さい。
注意:民間療法や家庭療法で悪化することもあります。
やけどの傷に、バター、マーガリン、アロエ、軟膏、グリース、重曹、その他いろいろなものを塗ってはいけません。
日焼けについて
日焼けをしてしまったら?
冷たい水を日焼けした部分にかけます。
ひどい日焼けでは、痛みが和らぐまで患部を冷たい水の中につけます。氷水で湿らせた布を患部に当てておくのもよいでしょう。
皮膚をこすってはいけません。ひどく日焼けした手足は心臓の位置より高くしておきます。
できれば乾いた清潔な包帯を巻いておきます。
ひどい日焼けのときには医師に相談して下さい。
水ぶくれを破いたり、軟膏、スプレー、アロエ、家伝薬などを使わないで下さい。
ロタウイルス性腸炎について
ロタウイルス性腸炎って?
晩秋から冬、初春にかけて見られる流行性の腸炎です。乳幼児や小さいこどもたちでの発生が多いですが、日本やアメリカ合衆国では、2歳までに大部分のこどもがかかります。大人もかかりますが、軽症の場合が多いです。日本、アメリカ合衆国や温帯の国々では、11月から4月までの冬季に流行します。
どんな病気?
ロタウイルスによる感染性胃腸炎の場合、潜伏期は約2日です。3~8日続く水様の下痢と嘔吐が特徴です。発熱と腹痛がしばしばおこります。咳や鼻水が見られる場合もあります。また中には、ロタウイルスに感染しても何の症状も示さない子供もいます。治ったあとの免疫は不完全で、またかかることもありますが、二度目にかかる場合は重症でないのが通常です。
特に下痢便は黄色~白色の便になるのが特徴的で別名「白色嘔吐下痢症」や「仮性コレラ」、「冬期乳児嘔吐下痢症」とも言われます。
患者から周囲の人たちへの主な感染の仕方は、患者の便の中に出てきたロタウイルスが手などによって運ばれて、周囲の人たちの口の中に入ることによります。しかし、気道の分泌物や他の体液にもロタウイルスが少量ながらも出て来ることが報告されていて、鼻水等による感染の可能性もあります。ロタウイルスは体外の環境下でも安定であるため、ロタウイルスにより汚染された水や食物を飲食したり、ロタウイルスにより汚染されたおもちゃをしゃぶったりしても感染します。
ロタウイルスによる感染性胃腸炎の場合、下痢症状が出る前から下痢症状が終わって2~3日後までは、患者の周囲の人たちが感染する可能性があります。
通常は免疫機能が低下していない限りは入院治療にいたることは少ないです。脱水を防ぐために水分を口からよく補給することが大切です。ロタウイルスによる感染性胃腸炎の場合、脱水のため点滴が必要になり40人に1人くらいの割合でこどもが入院しています。
ロタウイルス性腸炎の治療は?
ウイルス性下痢症の治療法ですが、ウイルスをやっつける特効薬はありません。 こどもが自分の力で治すのを横から手助けするだけです。嘔吐や下痢で失う水分を十分に補給して脱水を防ぐことが最も大切です。