当教室は、大気汚染をはじめとする環境因子の健康影響を主な専門とする社会医学系研究室です。
- 「公衆衛生学はScience(科学)であり、Art(技術)である」(Winslow)といわれるように、人々が当面している、あるいは今後予測される健康問題に予防医学的観点より科学的かつ積極的に対応することが公衆衛生学に求められています。
- 当教室は、開学当初から環境汚染が生体に及ぼす影響を中心課題として、研究活動を行ってきました。
初代の塚本教授は、鉛、カドミウム等の環境汚染金属の母体-胎児間の影響について研究を行い、その成果は環境保健行政にも役立てられました。
2代目の小泉教授は、兵庫県で問題となった生野鉱山におけるカドミウム汚染の住民健康調査を手掛けた経験から、環境汚染の健康影響を動物実験により実証することを目的とする研究を展開してきました。
- 3代目の島は、大気汚染の生体影響について、動物曝露実験とともに、地域住民を対象とする疫学的研究を行っています。現在は、環境省が実施する大規模疫学研究(そら(SORA)プロジェクト)の関西地区における調査を担当しているほか、石綿(アスベスト)、ディーゼル排気粒子などの大気汚染物質の健康影響に関する研究を主なテーマとしています。
- 一方、我が国の少子高齢化の急速な進行に伴い、公衆衛生学に求められる社会的要請も、健康障害への事後的な対策にとどまらず、健康障害を予防し、積極的に健康を保持、増進するための対策、すなわち疾病の一次予防が重視されるようになっています。当教室では、行政機関、医師会、産業保健推進センター等との連携を通じて、地域社会においても積極的に活動を展開するように努めています。