鼻副鼻腔・嗅覚外来
| 担当医 | 木曜日 午前診察 | 都築建三 岡 秀樹 児島雄介 |
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主に下記に示す鼻疾患の治療を行っております。
アレルギー性鼻炎・花粉症
鼻みず、鼻つまり、くしゃみを代表とするアレルギー性鼻炎は、その原因(抗原、アレルゲン)によって、大きく通年性(ハウスダスト、ダニ)と季節性(花粉症)に大別されます。花粉症は、いまや日本人口の20−30%に見られるとの統計もあり、まさに国民病とも言われています。
診断:症状の問診、鼻粘膜の腫脹の程度(腫れぐあい、図1)、血液検査などにより、診断されます。血液検査では、アレルギー反応を引き起こす免疫グロブリンの一種であるIgEが個々抗原に対してどの程度反応するかを調べます。
- 治療:
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- 生活上の基本事項:抗原(スギ花粉など)を避けることが重要で、花粉飛散時期にはマスクなどの花粉防止策をとることもある程度有用です。新聞・テレビなどの花粉飛散情報も有効に利用しましょう。ハウスダスト、ダニなどの抗原にアレルギーを持つ場合はなるべくホコリが存在しない住居環境を整えることも重要です。
- 薬物療法:抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤の内服、点鼻(ステロイド・抗ヒスタミン薬)などがあり、患者様それぞれにあわせた薬の組み合わせで行うものです。アレルギー反応のメジャーな物質であるヒスタミンをブロックする抗ヒスタミン薬は、眠気などの副作用が問題でしたが、最近の薬剤では、眠気がないか非常に少ないものもあります。
- 手術療法:薬物療法のみでは改善しない場合は、手術療法の適応となります。通常、通年性アレルギー性鼻炎で、鼻つまりが重度の方を対象とします。花粉症に対しても行うことがありますが、その場合花粉飛散より2ヶ月前までに行うことが必要です。実際の手術は、鼻内にある粘膜のヒダのうち、最も大きなもの(下鼻甲介)を処理します。下鼻甲介がアレルギー反応を起こすことで、鼻つまりがひどくなるため、これを減量・収縮させることが手術の目的となります。さらに、粘膜に瘢痕収縮をきたすことでアレルギー反応の抑制を期待します。ただ、実際に有効であるのは鼻つまりで、鼻みず・くしゃみについては、鼻つまりほど有効ではありません。
当科で行っている手術法は(1)アルゴンプラズマ凝固療法、(2)ラジオ波を用いた凝固療法などがあります。これらは、日帰り手術として行います。術直後は一時的に鼻閉がありますが、術後の状態が安定すると鼻症状(特に鼻閉)は改善します。薬物療法も手術療法も、アレルギーの体質を治す治療ではないため、根本治療ではありません。このため、術後経過の中でアレルギー性鼻炎の症状が再発する可能性もあります。この場合は、再度手術を行うケースもあります。
体質改善の根本治療としは減感作療法が挙げられますが、これは非常に長期(年単位)の通院治療が必要ですから、患者さんとよく相談の上、治療を決定します。
慢性副鼻腔炎
症状としては、鼻汁、鼻閉、後鼻漏、頭重感、頭痛などがあります。副鼻腔の形態は複雑であり、両側に眼窩(眼球のあるところ)や、上方には脳が存在しているため、病変の部位によっては、視力低下や物が二重にみえる(複視)などの眼症状を呈する場合や、脳膿瘍、髄膜炎などきたし、重篤化する場合もあり、注意を要する疾患の一つです。初診時に、鼻内所見と鼻X線所見をあわせて診断します。
薬物治療:軽度の場合は、抗生物質、粘液溶解剤などの薬物療法で治りますが、鼻茸(鼻ポリープ)の存在、薬剤による治療が有効でない場合が手術の適応となります。
手術治療:慢性副鼻腔炎は当科の鼻手術で最も多く手術している疾患の一つです。中央手術部で当科が行っている鼻副鼻腔疾患は年間約200件と多く、その95%以上が侵襲の少ない内視鏡下鼻内手術で行っています。
内視鏡下鼻内手術とは、鼻腔内から全ての副鼻腔に手術操作を行える手術方法で、従前の手術では、歯茎を切開したり眉毛の皮膚切開を加えたりしながら副鼻腔の病的粘膜を除去する手術が主流でした。ところが、後述するように、術後性副鼻腔嚢胞(のう胞)を来たすおそれや、術後に頬部の腫脹や(一時的です)、頬部のシビレ感が残る場合もあり、このような手術方法は最近あまり行われなくなっています。内視鏡下手術では、硬性内視鏡を鼻孔(鼻の入り口)から挿入し、鼻・副鼻腔内をVTRモニターに映しながら行う手術です。また、決定的に従前の手術と異なることは、手術のコンセプトです。内視鏡下手術では、鼻腔と副鼻腔との交通を十分につけることで、副鼻腔内の膿・粘液を除去し、病的粘膜の一部も切除します。ただし、粘膜はできるだけ温存し、術後開放された副鼻腔の粘膜の正常化を促すことがコンセプトになります。従って、術後のケアが特に重要になります。本手術法では、術後の頬部腫脹はおこりませんし、術後性副鼻腔嚢胞もほとんど起こりません。手術のために要する入院期間は、約6-7日間です。
術後性副鼻腔上顎洞嚢胞(のう胞)という疾患があります。これは、一度手術で開放された部位(上顎部)に残存した粘膜が閉鎖空間を形成して、徐々に大きくなり、周囲組織を圧迫するものです。ほとんどが、従前の歯茎を切開して行った手術の10−20年後に発症します。腫れが強く痛みを伴うものは、手術の適応となります。眼球を圧迫して、ものがダブって見えたり(複視)、視力低下を来たすことも稀ではありません。最近では、これも内視鏡で鼻内から手術が可能になってきました。
鼻中隔彎曲症が強度な場合は、鼻閉の原因となるため、鼻腔形態を矯正するための鼻中隔矯正術も行っております。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎の手術を行う場合は、同時にこれらに対する手術(上記)も行います。本手術単独であれば、4−5日の入院治療となります。
鼻出血
最も頻度の高いものは、キーゼルバッハ部位と呼ばれる鼻中隔前方にある静脈叢からの出血で、止血は容易です。鼻出血の原因は多種です。高血圧症があったり、抗止血剤(アスピリン、ワーファリン、パナルジンなど)を服用している方は、止血機能が低下しているため、止血困難な場合があります。稀に、鼻腔後方からの出血(特に動脈性)の場合は、止血困難な場合もあり、入院の上、内視鏡を用いた止血術が必要な場合があります。
鼻・副鼻腔に発生する腫瘍
良性腫瘍では、乳頭腫が最も多く、その治療は、手術的に摘出することです。腫瘍の広がりによっては歯肉切開により腫瘍を残存のないように摘出します。術後も再発の有無を定期的に観察していく必要があります。悪性腫瘍では、上顎癌が多く、集学的治療(手術、放射線療法、化学療法)です。
嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)
ニオイが分からない、あるいは今までと異なるニオイに感じるなどの症状を嗅覚障害といいます。最も多い原因は、鼻・副鼻腔炎によるもので当科においては約50%を占めます。ついで多い原因は、風邪の後に匂わなくなった状態です。当科の研究では、6月にひいた風邪の後が最もニオイの障害を来たしやすいようです。その場合、なるべく早く耳鼻咽喉科を受診することを勧めます。その他は、頭を強く打ってからニオイが無くなってしまう外傷性嗅覚障害、原因不明であることも12%程度みられます。この中には加齢による障害も含まれていると考えています(ヒトの嗅覚は65歳を越えると急激に鈍くなります)。
嗅覚障害には、障害部位によって、呼吸性、嗅粘膜性、混合性(呼吸性と嗅粘膜性が合わさったもの)、嗅神経性、中枢性嗅覚障害に分けられます。呼吸性嗅覚障害には、鼻炎、副鼻腔炎、鼻茸、鼻中隔彎曲症などによるものでニオイを感じる部位へ吸い込んだニオイが到達しないことによる嗅覚障害です。嗅粘膜性は、鼻炎、副鼻腔炎による粘膜病変が嗅粘膜にまで及ぶ場合などです。嗅神経性には、ウィルス性の感冒(風邪)罹患後や薬剤性(抗癌剤など)によるものが主なものです。中枢性としては、脳挫傷を伴う頭部外傷などが多いです。嗅覚検査を行い、さらには画像検査(頭部、副鼻腔など)を行って原因を調べます。嗅覚検査は、基準嗅力検査という5種のニオイを実際に嗅いでもらう検査、静脈性嗅覚検査というアリナミン液を静脈注射してニオイの有無を検討する検査があります。また、米国ペンシルバニア大学が開発した嗅覚識別検査なども適時用いて嗅覚機能を評価しています。
治療方法は、薬物療法です。神経賦活剤、ビタミンB12剤の服用、ステロイド剤の点鼻、当科で開発したステロイド剤の鼻腔粘膜への直接注入法などがあります。いずれの場合も、嗅覚障害の治療は長期の経過を要するため、根気強く通院していただく必要があります。慢性副鼻腔炎・鼻中隔彎曲症などが原因の場合は、手術治療を行います。
外傷
顔面外傷に伴い、鼻骨骨折や眼窩吹き抜け骨折、視神経管骨折などがあり、整復手術を行います。鼻骨骨折は単独で軽度なものは、外来手術で整復可能です。視神経管骨折は、視力低下をきたすため、視力の回復のためには受傷後から原則として24時間以内に開放手術が必要です。内視鏡下で慢性副鼻腔炎に準じた手術方法で行います。眼窩吹き抜け骨折や頬骨骨折などを重複な骨折を伴う場合は、形成外科医とともに整復手術を行うこともあります。
