教育・研究について

教育・研究について

専門医研修

さまざまなな学びと多くの経験を重ねて学術的成果の達成をめざす

教室の様子

当科の専門医研修プログラムの研修施設群19施設で構成されており、症例、地域、専門的治療などの面で多彩な選択肢の中から専攻医の希望に即した研修コースをオーダーメイド的に提供することが可能となっています。さらに研修終了後の進路についても、研修施設群に参加している医療機関のほとんどが兵庫医科大学精神科神経科同門会であり、プログラム中で研修した施設もしくは研修中に経験できなかった施設への就職がスムーズです。

また、兵庫医科大学には夜間大学院があり、研修期間中に大学院へ進学し、専門医研修と大学院での研究を並行して行うことができ、研修終了後に大学での研究を継続することも可能です。
当プログラムでの研修を行う全ての専攻医は、研究機関ならではの専門的診断と治療に触れることができ、その研究の一翼を担うことで、学術的成果を達成することができます。

教室の様子
教室の様子

本研修プログラムでは、

  1. 外来診療と入院治療、
  2. 急性期と慢性期、
  3. 地域医療における精神医療の役割、
  4. 身体的治療と精神的治療の融合、
  5. 高齢者・児童思春期・依存症などのサブスペシャリティ
という5つの観点から研修コースを構成しています。

基幹病院である兵庫医科大学病院精神科神経科精では病床は44床と単科精神病院と比較すると少ないものの、統合失調症(F2)、気分障害(F3)、神経症性障害(F4)をはじめとして、認知症、器質性精神疾患、身体合併症、リエゾン・コンサルテーションなどの幅広い症例を、上級医の指導を受けながら主治医として担当します。
また、神経症に関しては国内有数の外来患者数であり、認知行動療法をはじめとする多種多様な神経症治療を学ぶことができます。

教室の様子
教室の様子

また、院内に多職種で構成されるリエゾンチームと緩和ケアチームを有するほか、産科と合同で精神疾患合併妊娠の妊娠・出産・子育て支援などの包括的サポートプログラムを実施しており、総合病院ならではの身体疾患・精神疾患併存症例を豊富に経験することができます。さらに、神経内科と共同で兵庫県認知症疾患医療センターを運営しており、認知症疾患の専門的な鑑別診断と治療の方向付けを学ぶことができます。
(専門医研修プログラムについての詳細は、日本専門医機構兵庫医科大学病院のホームページ に公開されるのでご参照下さい。)

教室の様子

研究概要

国内の精神医療における各分野の発展に寄与

当科は、世界最先端の強迫症の診療・研究機関であり、日本全国、遠くは海外からも受診する患者がいます。おのずから多数の多彩な症例の情報が集積し、良質な研究が可能なうえに、その研究成果をすぐに実臨床で実践し確認することが可能です。

現在大学院生は7名在籍しており、強迫関連障害や不安障害、うつ病などの臨床研究を中心に、産後精神病に関するもの、うつ病動物モデルを使ったもの、認知症の薬理学的研究、精神免疫、神経病理学的研究など幅広く、学会活動も活発に行っています。

現在の主な研究テーマ
  • 摂食障害患者の治療脱落と改善に関連する要因の分析
  • 精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究
  • 強迫症と注意欠陥多動性障害併存の研究
  • 精神疾患、特にうつ病の動物モデル研究 うつ病の動物モデルを用いて、うつ病における心身相関メカニズムの解明、精神免疫学的研究を行っています。
  • 強迫性障害(強迫症)と関連する神経精神疾患 どのような強迫症や強迫関連症にも適切な治療法を早期に選択でき、治療効果を全ての患者に享受してもらえるようなゴールデンスタンダードとなる治療プロトコルの開発を目指しています。
  • 妊産婦の精神疾患とメンタルヘルス 妊産婦のメンタルサポートについて、多職種連携による包括的なケアを実践し、その介入効果を前方視的に調査しています。
  • 認知症 アルツハイマー型認知症のリスク遺伝子と言われているアポリポタンパクE遺伝子多型ε4の有無を解析すると同時に、発症や認知症の行動・心理症状(BPSD)の発症予測遺伝子を検討しています。
  • 摂食障害 治療脱落と摂食障害の改善に関わる要因を調査し、それらを明らかにすることにより、より良い治療を開発していくことを研究テーマとしています。
  • 統合失調症および精神病性障害 統合失調症患者の血液からグルテン感受性を測定し、その臨床的背景との関係性とグルテン感受性を有する患者へのグルテンフリー食の有効性に関する研究を行っています。
  • 緩和ケア より良い包括的支援を行うために希死念慮の関連要因と、介入による効果(薬物治療・心理的サポート・疼痛コントロール・リハビリ・ソーシャルサポート)を今後調査していきたいと考えています。
  • 神経病理 近年、神経変性疾患における原因蛋白の特定や染色技術の発展が見られており、当科では免疫染色法による症例の再検討も行っています。
  • 発達障害をベースとする神経症性障害の新しい治療プロトコル開発
  • NIRSを用いた脳血流測定による病態生理の解明
  • 強迫症のサブタイプに関する脳画像研究
  • 遺伝子多型によるSSRIの有効性の相違