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CPC-3   手掌に発生した悪性腫瘍の1例 

  ○幾井 宣行、新井 康泰、徐 信夫、草壁 秀成 、清金 公裕(大阪医大)

 症例は56歳男性。

約5年前より左手掌の疣贅状の腫瘤に気付いた。徐々に拡大傾向を示すため、平成11年10月近医を受診。腫瘤の切除術を受け、病理組織学的にmalignancyを疑われ、同年10月20日当科紹介受診。初診時、左手掌で第1指間部に長さ約2cmの紅色でやや湿潤した手術痕が存在し、その皮下に硬結を触れ、周囲に発赤を伴っていた。左腋窩には直径2cmほどの弾性硬の可動性良好な皮下腫瘤が存在した。入院時に全身精査したが、特に内臓悪性腫瘍等は認められなかった。また、腫瘍マカーはCEA、AFP、CA19-9、SCC共に正常値であった。11月に拡大切除術を行い、病理組織検査にて真皮に好塩基性に染まる豊富な明るい胞体を持つ腫瘍細胞の増殖が認められた。特殊染色にて腫瘍細胞は、PAS、CA19-9、ケラチン、EMA、NSE、S-100蛋白は陽性、鍍銀、スダン、アルシアンブルー、CEA、LCA (leukocyte common antigen)、PSA(prostata specific antigen)、ビメンチン、デスミンは陰性であった。術後、化学療法、放射線療法施行するも効果なく、局所再発を来たしリンパ行性に浸潤傾向を見せるため、平成12年2月に左肩甲胸郭間切断術施行。しかし、術後切断面より再発を来たし、局所浸潤による癌性胸水のための呼吸不全にて同年5月永眠された。



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