石原 正治 主任教授 

兵庫医科大学内科学講座循環器内科・冠疾患科の石原正治です。私はこれまで一貫して急性心筋梗塞を中心とする循環器急性医療の第一線で診療に従事し、前任地の国立循環器病研究センター心臓血管内科部長を経て、平成26年8月に冠疾患科の主任教授として着任しました。これまでも兵庫医科大学では循環器内科と冠疾患科は協力して循環器診療を行ってきましたが、平成30年10月からは循環器内科主任教授の兼任となり、今まで以上に循環器内科と冠疾患科が一体となって有機的に診療、研究、教育に取り組んでいく所存です。



診療では、阪神地区の中核機関として、地域の病院や医院の実地医家の先生方との連携を重視し、密接な協力体制を構築しています。その一環として、医療機関・救急隊専用のホットラインを開設し、救急対応のみならず循環器疾患患者に関するご相談にもスタッフが24時間/365日態勢で対応しています。また、近隣の実地医家との合同勉強会やカンファレンスも数多く行っています。これからも中核機関としての専門的・先進的医療の実践と地域医療への貢献が両立できるよう、診療レベルをさらに向上させるとともに、心のこもった医療のできるスタッフの育成にも努めて参ります。地域の先生方の益々のご支援をお願いいたします。



研究では、「患者から学ぶ」ことを基本として一例一例の経験を蓄積する観察研究、新しい検査法や治療法を探索する介入研究、それらを検証するための多施設共同研究などの臨床研究を行っています。さらに、心血管病の病態解明や新たな治療法の開発を目指して動物実験や細胞実験などの基礎研究にも取り組んでいます。これらの研究成果のいくつかは最新のガイドラインにも引用されています。現在では標準治療とされている急性心筋梗塞に対する再灌流療法や心不全に対するβ遮断薬も当初は禁忌と考えられていました。私たちは「新しい常識を作ろう」をモットーに臨床の疑問に答えるための研究を推進しています。



教育では、単に知識を増やすのではなく、つねに病態から考える姿勢を身に着けることができるよう指導に心掛けています。ここでも「患者から学ぶ」を基本に、卒前教育としてのクリニカルクラークシップ、卒後教育としての初期研修において、病棟長の元、スタッフが屋根瓦方式で取り組んでいます。後期研修ではサブスペシャリティーを学ぶとともに、総合的な内科診療の能力向上を図ります。さらには“心カテをしたい”、”研究がしたい”、”留学してみたい”あるいは”地域医療にも興味がある”など一人一人の希望をかなえるキャリアが提供できるよう、また例えば出産・育児などでもキャリアを維持・継続できるよう各個人に沿ったカリキュラムを用意します。



私たちの教室は若いスタッフが多く、明るく活気にあふれています。循環器病学に興味を持つ多くの学生、研修医諸君の参加を期待します。